Home 9 ビジネスコラム 9 ベトナムの輸出規制一覧を解説|規制対象品目、許可手続き、注意点まとめ
ベトナム 輸出規制

ベトナムへの進出や現地からの輸出を検討する企業にとって、輸出規制の理解は欠かせません。ベトナムでは品目別の禁止・許可制に加え、リスクベース管理や品質・安全基準、国際条約との整合を軸とした法体系が整備されています。2026年には製品・商品品質法や化学品法の大幅改正が施行予定であり、輸出管理はさらに細分化される見通しです。本記事では、ベトナムの輸出規制の全体像から具体的な品目規制、許認可手続き、リスク管理まで体系的に解説します。

ベトナムの輸出規制の全体像を確認する

ベトナムの輸出規制は、品目別の禁止・許可制を基本としながら、リスクベース管理や国際基準との整合を重視した体系へと進化しています。まずは規制を所管する官庁の役割と、基盤となる法令の構造を理解することが重要です。

ffvbbt webinar

管轄官庁と役割の整理

ベトナムの輸出規制は複数の省庁が連携して運用しています。商工省が輸出入管理の中核を担い、政令や通達の策定・執行を行います。農業農村開発省は農林水産物の検疫や衛生管理を所管し、科学技術省は技術移転や品質基準に関する規制を担当します。

品目の特性に応じて管轄省庁が異なるため、輸出前に該当する規制当局を特定することが不可欠です。例えば、化学品は商工省と環境天然資源省の両方が関与し、食品は保健省の衛生規制も適用されます。税関総局は通関手続き全般を統括し、各省庁が発行する許可証や証明書の確認を行います。

主要な法令と制度のポイント

ベトナムの輸出規制の根幹をなすのが政令69/2018/ND-CPです。この政令は輸出禁止品目、輸出管理品目、条件付き輸出品目を定義し、品目ごとの許可要件を規定しています。商法や輸出入関税法、食品安全法といった一般法も輸出に影響を与えます。

2026年1月には製品・商品品質法の大改正が施行予定であり、17年ぶりの抜本的な見直しとなります。この改正ではリスクベース管理への転換が明確化され、高リスク製品へのデジタルパスポート制度が義務化されます。同時期に施行される化学品法(第69/2025/QH15号)では、条件付き化学品・特別管理化学品・禁止化学品の区分と輸出入許可制度が明確化されます。

リスト規制とキャッチオール規制の違い

ベトナムの輸出管理には、リスト規制とキャッチオール規制の二つの枠組みが存在します。リスト規制は政令の別添に明記された品目を対象とし、該当品目の輸出には事前の許可取得が必要です。品目リストは定期的に更新されるため、最新情報の確認が欠かせません。

一方、キャッチオール規制はリストに掲載されていない品目であっても、大量破壊兵器の開発や軍事転用のおそれがある場合に輸出を規制する仕組みです。輸出者は最終用途や需要者の確認義務を負い、疑わしい取引については自主的に許可申請を行う必要があります。この規制は国際的な安全保障レジームとの整合性を保つために設けられています。

輸出地域規制と国際制裁の影響

ベトナムの輸出規制の特徴として、特定の国や地域への輸出禁止措置は原則として行わない点が挙げられます。日本や欧米諸国のような制裁国リストに基づく地域規制は採用されておらず、品目別管理が中心となっています。

ただし、ベトナムが締結しているFTAや多国間条約の影響を受ける場面は多くあります。例えば、ASEAN自由貿易協定やRCEP、EU-ベトナムFTAなどの枠組みでは、原産地規則や関税優遇の条件が定められています。これらの国際約束を活用するには、原産地証明書の取得や協定で定める品質基準への適合が求められます。

ベトナムで特に注意すべき品目規制を把握する

ベトナムの輸出規制では、品目の種類によって適用される規制内容が大きく異なります。ここでは特に注意が必要な品目カテゴリーごとに、規制の具体的な要件を解説します。

軍需品・二重用途品の管理要件

軍需品や二重用途品(デュアルユース品)は、ベトナムにおいて最も厳格な輸出管理の対象となります。武器・弾薬・軍事装備品は輸出禁止品目に指定されており、例外的な許可を得ない限り輸出は認められません。

二重用途品とは、民生用途と軍事用途の両方に使用可能な物品や技術を指します。工作機械、電子部品、特殊素材、暗号技術などが該当し、輸出には商工省の許可が必要となる場合があります。許可申請時には最終用途証明書や需要者の詳細情報の提出が求められ、審査には長期間を要する場合があるため、計画的な対応が不可欠です。

農林水産物と食品の検疫・衛生規制

農林水産物や食品の輸出は、農業農村開発省と保健省の規制を受けます。植物検疫では病害虫の拡散防止のため、輸出前の検査と植物検疫証明書の取得が義務付けられています。動物由来製品には動物検疫証明書が必要です。

食品については、2026年1月から栄養成分表示義務が強化され、エネルギー、たんぱく質などの表示が必須となります。輸出先国の基準だけでなく、ベトナム側の表示規制にも適合したラベル設計が求められます。残留農薬基準や添加物規制も厳格化される傾向にあり、輸出前の品質検査体制の整備が重要です。

中古機械・設備と廃棄物に関する規制

中古機械や設備の輸出は環境保護の観点から規制されています。特に、使用済み電気電子機器や廃棄物に該当する可能性のある品目は、バーゼル条約に基づく国際的な規制の対象となります。

輸出にあたっては、品目が廃棄物に該当しないことの証明や、環境基準への適合を示す書類の提出が求められる場合があります。中古機械については、製造年や残存耐用年数、安全基準への適合状況などを確認する検査が実施されることがあります。環境天然資源省の許可が必要なケースもあるため、事前確認が不可欠です。

化学物質・危険物の許可と表示義務

化学物質の輸出規制は2026年施行の化学品法により大幅に強化されます。化学品は条件付き化学品、特別管理化学品、禁止化学品の三区分に分類され、それぞれ異なる許可要件が適用されます。

条件付き化学品を輸出できるのは、適格証明書を保有する製造者・取引業者・自己使用者に限定されます。特別管理化学品は製造・取引の許可証に加え、輸出入ごとに特別な許可証が必要となり、有効期間は6か月で1回のみ延長可能です。禁止化学品は原則として輸出入が禁止されており、科学研究目的など特定の例外を除き、取り扱いは認められません。

以下の表は化学品区分ごとの輸出要件をまとめたものです。

化学品区分 輸出者の要件 輸出時の許可
条件付き化学品 適格証明書の保有 認証製造者・取引業者に限定
特別管理化学品 製造・取引許可証 輸出入ごとに特別許可証(有効期間6か月)
禁止化学品 原則禁止 科学研究等の例外のみ許可制

化学品の輸出を予定している企業は、自社が取り扱う物質がどの区分に該当するかを早期に確認し、必要な許可取得の準備を進めることが求められます。

ベトナムの輸出規制に基づく手続きと許認可を押さえる

輸出規制を遵守するためには、具体的な申告手続きや許認可の取得プロセスを正確に理解する必要があります。ここでは実務で求められる書類や審査のポイント、通関時の注意事項を解説します。

輸出申告と必要書類の一覧

ベトナムからの輸出では、税関への輸出申告が基本となります。申告には輸出申告書、商業インボイス、パッキングリスト、売買契約書などの基本書類が必要です。品目によっては追加の証明書や許可証が求められます。

主な必要書類は以下のとおりです。

  • 輸出申告書(電子申告システムVNACCS経由)
  • 商業インボイス
  • パッキングリスト
  • 売買契約書または発注書
  • 原産地証明書(FTA活用時)
  • 品目別の輸出許可証または証明書
  • 検疫証明書(農産物・動物製品の場合)

電子通関システムVNACCSの利用が一般化しており、事前登録と操作方法の習熟が円滑な通関の鍵となります。書類の不備は通関遅延の主因となるため、チェックリストを活用した事前確認が推奨されます。

許可申請の流れと審査で見られるポイント

輸出管理品目や条件付き輸出品目を扱う場合は、商工省や関係省庁への許可申請が必要です。申請から許可取得までの期間は品目や申請内容により異なりますが、通常2週間から1か月程度を見込む必要があります。

審査では、輸出者の適格性、取引相手(需要者)の確認、最終用途の妥当性、数量・金額の合理性などが確認されます。特別管理化学品の場合は、請求書ごとの許可申請が求められ、審査はより厳格になります。申請書類に不備があると差し戻しとなり、再申請が必要になるため、記載内容の正確性と整合性の確保が重要です。

検査・検疫と通関手続きの実務上の注意点

輸出貨物は税関によるリスク評価に基づき、書類審査のみで通関となるケース、現物検査が実施されるケースに分かれます。高リスク品目や過去に違反歴のある輸出者の貨物は、現物検査の対象となりやすい傾向があります。

農産物や食品は検疫機関による検査が別途必要となり、植物検疫証明書や動物検疫証明書の取得が前提となります。検査には数日を要する場合があるため、余裕を持った出荷計画が求められます。危険物の輸出では、国際輸送規則(IMDGコードなど)に準拠した梱包・表示・書類の整備も必須です。

違反時の行政処分と対応フロー

輸出規制に違反した場合、行政処分の対象となります。処分の内容は違反の程度により異なり、警告、罰金、貨物の没収、輸出停止命令などが科される可能性があります。重大な違反や故意の違法輸出には刑事責任が問われることもあります。

違反が発覚した場合は、速やかに事実関係を確認し、関係当局への報告と是正措置を講じることが被害拡大の防止につながります。社内での違反発見時の報告体制と対応フローを事前に整備しておくことが、リスク管理上不可欠です。

ベトナムの輸出規制に対応したリスク管理とコンプライアンス体制の構築

輸出規制への対応は、単発の許可取得にとどまらず、継続的なリスク管理体制の構築が求められます。ここでは社内体制の整備からサプライチェーン管理、教育・監査まで、包括的なコンプライアンス対策を解説します。

キャッチオール規制への対応方法と内部管理体制

キャッチオール規制への対応は、自社で能動的にリスクを評価し、疑わしい取引を排除する仕組みの構築が中心となります。取引開始前のスクリーニングとして、需要者の身元確認、最終用途の確認、輸出先国のリスク評価を実施することが推奨されます。

内部管理体制としては、輸出管理担当部門の設置、取引審査プロセスの文書化、判断基準の明確化が基本です。経営層の関与を明確にし、コンプライアンスを企業文化として定着させることが、実効性のある管理体制の基盤となります。

サプライチェーン上でのチェックポイント

輸出管理はサプライチェーン全体を通じて行う必要があります。原材料の調達先から製造工程、物流、販売先に至るまで、各段階でのリスク評価と管理が求められます。

主なチェックポイントは以下のとおりです。

  • 調達先の信頼性確認と取引履歴の管理
  • 製造工程での品質管理と記録保持
  • 物流業者の選定と輸送ルートの確認
  • 販売先・最終需要者の身元確認
  • 再輸出リスクの評価

デジタルパスポート制度の導入により、製品の履歴追跡が義務化される方向にあるため、サプライチェーン全体でのデータ管理体制の整備が今後ますます重要になります。

社内規程と社員教育の整備ポイント

輸出管理の実効性を高めるには、社内規程の整備と定期的な社員教育が不可欠です。社内規程には、対象品目の定義、取引審査の手順、許可申請のフロー、違反時の対応手順などを明記する必要があります。

社員教育では、輸出規制の基本知識、自社製品の該非判定の方法、取引相手の確認手法などを定期的に研修します。特に営業部門や物流部門など、実務に直接関わる部署への重点的な教育が効果的です。教育記録を残し、コンプライアンス意識の継続的な向上を図ることが重要です。

監査・モニタリングと違反予防の実践策

構築した管理体制が適切に機能しているかを確認するため、定期的な内部監査とモニタリングを実施します。監査では、取引記録の確認、許可証の有効期限管理、書類の整合性チェックなどを行います。

監査で発見された問題点は速やかに是正し、再発防止策を講じることで、継続的な改善サイクルを回すことが違反予防の要です。外部専門家による第三者監査を定期的に実施することも、客観的な視点での改善点発見に有効です。

ベトナムのビジネスには展示会出展が効果的

ベトナムでは、展示会への出展が企業のマーケティング戦略において極めて重要です。現地で開催される展示会は、自社の商品・サービスを認知してもらう最適な機会であり、特にB2B企業にとって欠かせない施策の一つとされています。開催数も年々増加しており、幅広い業種で行われる展示会は、効果的な販促チャネルとして注目されています。

展示会はテストマーケティングの場としても活用でき、現地顧客の反応を直接確かめることができます。さらに、単なる商品PRにとどまらず業界関係者とのネットワークづくりにも活用できるため、新規参入企業が現地での認知度を高め人脈を広げる上でも有効です。

このような対面での商談や交流を通じて有望な新規顧客の獲得やパートナー企業の発掘にもつながるため、展示会出展はベトナムにおけるB2Bビジネスで欠かせない施策となっています。

まとめ

本記事では、ベトナムの輸出規制について、全体像から品目別規制、許認可手続き、リスク管理まで体系的に解説しました。

  • ベトナムの輸出規制は品目別管理が中心で、特定国・地域への輸出禁止は存在しない
  • 2026年に製品・商品品質法、化学品法などの大改正が施行され、規制が細分化される
  • 化学品は条件付き・特別管理・禁止の三区分に分類され、区分ごとに許可要件が異なる
  • 輸出申告には電子通関システムVNACCSの活用が一般的で、品目に応じた許可証・証明書が必要
  • キャッチオール規制への対応と内部管理体制の構築が実務上重要
  • 継続的な監査とモニタリングにより、違反予防と改善サイクルを維持する

ベトナムへの進出や輸出事業を成功させるためには、現地の規制動向を継続的に把握し、コンプライアンス体制を整備することが不可欠です。また、展示会への出展は現地でのビジネス機会創出に有効な手段となります。

株式会社ビッグビートは、海外展示会出展のサポートをしています。特に、タイやベトナムに現地法人を有しており、出展企画の立案から展示ブースの設営、コンパニオンをはじめとする運営スタッフの手配や管理に至るまで、日本の高い品質基準を維持したまま、現地からの迅速なサポートを提供することが可能です。

著者:ビッグビート ASEAN推進編集部

ベトナム・タイを中心としたASEAN圏に進出、あるいはこれから進出を計画している事業会社に対し、現地でのBtoBマーケティング領域を総合的に支援する広告会社です。ASEAN圏現地での実務経験や企業支援の実績を基に、現地に根差した信頼性の高い情報発信を行っています。