ベトナムへの進出や現地ビジネスの拡大を検討する際、法的リスクへの備えは欠かせません。契約書の作成から労務管理、知的財産の保護まで、信頼できる弁護士の存在が事業の成否を左右するといっても過言ではないでしょう。しかし、ベトナムの弁護士制度は日本とは大きく異なり、外国人弁護士の活動範囲や資格取得の仕組みにも独自のルールが存在します。
本記事では、2026年現在のベトナムにおける弁護士資格の制度や取得プロセス、外国人弁護士の位置づけ、そして日本企業が現地で弁護士を選ぶ際に押さえておくべきポイントを網羅的に解説します。デジタル化が進む司法制度の最新動向や費用相場も含め、実務に役立つ情報を整理しました。ベトナムでの法的支援の全体像を把握し、最適なパートナー選びに役立ててください。
この記事でわかること
- ベトナムの弁護士資格制度と取得までの具体的なプロセス
- 外国人弁護士と現地弁護士の業務範囲の違いと制限事項
- 日本企業がベトナムで弁護士に依頼できる代表的な業務内容
- 信頼できる弁護士を見極めるための実践的なチェックポイント
ベトナムで弁護士になる方法と法制度の要点
ベトナムの弁護士制度を理解するには、資格の種類や取得プロセス、外国人弁護士の位置づけなど、複数の観点を押さえる必要があります。ここでは、2026年現在の法制度に基づき、ベトナムにおける弁護士の全体像を解説します。
弁護士資格の種類と登録制度
ベトナムで法律業務を行う専門家は、大きく「ベトナム法弁護士」と「外国法事務弁護士」の2つに分類されます。ベトナム法弁護士はベトナム国民のみが取得できる資格であり、裁判所での代理業務を含むすべての法律サービスを提供可能です。一方、外国法事務弁護士は自国の弁護士免許を持つ外国人が司法省に登録することで認可される資格で、活動範囲に明確な制限が設けられています。
すべてのベトナム法弁護士は、地方弁護士会への登録とベトナム弁護士連合会(VBF)への所属が義務付けられています。登録なしに弁護士を名乗ることは法律で禁止されており、依頼する側も相手の登録状況を確認することが重要です。2025年の改正により、公共弁護士(Public Lawyer)という新たなカテゴリーも試験運用が始まりました。これは公務員としての身分を持つ法律家で、国際投資紛争への対応や社会的弱者の支援を担います。
- ベトナム法弁護士 … ベトナム国民のみ取得可能、全法律業務に対応
- 外国法事務弁護士 … 外国人が司法省登録で取得、業務範囲に制限あり
- 公共弁護士 … 2026年から3年間の試験運用中、公務員としての法律家
資格取得の要件と試験の流れ
ベトナムで弁護士資格を取得するには、弁護士法10条に基づく厳格な要件を満たす必要があります。まず、法学士号(LLB)の保持が必須条件です。加えて、憲法および法律の遵守、優れた道徳的資質、そして激務に耐えうる健康状態が求められます。
資格取得までのプロセスは3段階に分かれています。第1段階は司法学院(Judicial Academy)での12か月間の専門研修です。第2段階は法律事務所での12か月間の実務修習で、指導弁護士のもとで実践的な経験を積みます。最終段階として全国統一の「実務結果評価試験」に合格しなければなりません。2026年の改正では、裁判官や検察官経験者に対する免除制度が厳格化され、短縮研修の義務付けが導入されました。
| 段階 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 司法学院での専門研修 | 12か月 |
| 第2段階 | 法律事務所での実務修習 | 12か月 |
| 第3段階 | 全国統一の実務結果評価試験 | 試験日程による |
外国弁護士と現地弁護士の扱いの違い
日本企業がベトナムに進出する際、日本の弁護士資格を持つ法律専門家に現地でサポートを依頼するケースは少なくありません。しかし、外国人弁護士がベトナムで活動するためには司法省への登録が必須であり、業務範囲にも厳格な制限が課されています。
外国法事務弁護士は外国法や国際法に関する助言は行えるものの、ベトナム法に基づく直接的な法的助言は原則として禁止されています。裁判所での代理・弁護活動も認められておらず、訴訟手続きに参加することはできません。ただし、ベトナム人弁護士との連携による共同作業は認められており、外国法と現地法の橋渡し役として機能します。常駐義務として12か月間のうち183日以上のベトナム滞在も求められるため、この点も確認が必要です。
| 業務カテゴリー | 外国法事務弁護士 | ベトナム法弁護士 |
|---|---|---|
| 外国法・国際法の助言 | 可能 | 可能 |
| ベトナム法の直接助言 | 不可 | 可能 |
| 裁判所での代理・弁護 | 不可 | 可能 |
| 現地弁護士との連携 | 可能 | 可能 |
ベトナムの裁判制度と手続きの特徴
ベトナムの裁判制度は、最高人民裁判所を頂点とする階層構造を採用しています。地方レベルの県級人民裁判所、省級人民裁判所、そして高級人民裁判所が設置され、事案の内容や金額に応じて管轄が決定されます。民事訴訟においては、調停を経てから正式な裁判手続きに移行する流れが一般的です。
2026年現在、司法のデジタル化が急速に進んでいる点も注目に値します。2025年5月に公開された国家法的ポータル(phapluat.gov.vn)では、政府公式文書がベトナム語と英語で無料公開されています。AIアシスタントによる対話形式の法令検索機能も実装され、外国企業にとって法的情報へのアクセスが格段に容易になりました。デジタル身分証明(VNeID)との連携や、法令の有効・改正・廃止ステータスのリアルタイム表示など、透明性の高い仕組みが整備されています。
- 国家法的ポータルで法令を多言語で無料閲覧可能
- AIアシスタントによる法令検索・抽出機能を搭載
- デジタル身分証明との連携で手続きが効率化
- 法令の有効ステータスがリアルタイムで確認可能
弁護士の倫理規定と監督機関
ベトナムの弁護士は、弁護士連合会が定める倫理規定を遵守する義務を負っています。弁護士連合会は全国の弁護士を統括する自律的な組織であり、プロフェッショナリズムの番人として機能しています。日本弁護士連合会(JFBA)とも協力関係にあり、両国の法律家の交流促進にも寄与しています。
法律事務所にもさまざまな義務が課されています。個人経営の弁護士事務所のほか、パートナーシップ制や有限責任会社形式の法律会社(Công ty luật)が認められていますが、いずれも職業賠償責任保険への加入が必須です。守秘義務の厳格な履行に加え、無料法的援助(プロボノ)の実施も義務として定められています。2026年以降は修習生の段階から弁護士会の監督下に置かれるようになり、より高い倫理観が求められる体制へと移行しました。
- 弁護士連合会が全国の弁護士を統括し、倫理規定を運用
- 職業賠償責任保険への加入が全事務所に義務付け
- 守秘義務の厳格な履行とプロボノの実施が必須
ベトナムで弁護士に依頼する代表的な業務
ベトナムでビジネスを展開する日本企業にとって、現地の弁護士に依頼すべき業務は多岐にわたります。企業設立から紛争解決、知的財産の保護まで、主要な依頼分野を網羅的に紹介します。
企業設立と投資関連のリーガルサポート
ベトナムで法人を設立する際には、投資登録証明書(IRC)や企業登録証明書(ERC)の取得が必要です。これらの手続きは計画投資省の管轄下にあり、業種によっては条件付き投資分野として追加の許認可が求められます。弁護士は必要書類の作成から当局との折衝、申請手続きの代行まで一貫してサポートを行います。
特にベトナムでは外国企業に対する出資比率規制や業種別の参入条件が頻繁に改正されるため、最新の法規制に精通した弁護士の助言が不可欠です。工業団地への入居手続きや土地使用権の取得など、不動産関連の法的支援も重要な業務の一つとなっています。ビンズオン省やバクザン省、バクニン省といった製造業が集積する地域では、工業団地特有の規制に関する法的助言の需要が高まっています。
- 投資登録証明書(IRC)と企業登録証明書(ERC)の取得支援
- 条件付き投資分野における追加許認可の取得
- 出資比率や業種別参入条件に関する最新情報の提供
- 工業団地入居や土地使用権に関する法的助言
契約書作成と国際取引のリスク対策
ベトナムでの国際取引においては、契約書の内容が紛争発生時の決定的な証拠となります。現地の弁護士は、ベトナム法に準拠した契約書の作成やレビューを通じて、日本企業の利益を保護する役割を果たします。売買契約、業務委託契約、ライセンス契約など、取引の形態に応じた適切な条項の設計が求められます。
準拠法の選択や紛争解決条項の設定は、将来的なトラブルの対処に直結するため、契約締結前に弁護士と十分に協議する必要があります。ベトナム語と日本語または英語のバイリンガル契約書を作成する場合、言語間の解釈の相違がリスクとなるため、両言語に精通した法律専門家の関与が重要です。
| 契約の種類 | 主な注意点 | 弁護士の役割 |
|---|---|---|
| 売買契約 | 品質保証条項、支払い条件 | ベトナム法準拠のリスク条項設計 |
| 業務委託契約 | 成果物の帰属、秘密保持 | 知的財産の保護条項の策定 |
| ライセンス契約 | ロイヤリティ、技術移転規制 | 送金規制との整合性確認 |
| 合弁契約 | 出資比率、経営権の配分 | デッドロック条項の設計 |
労働問題と雇用契約の実務対応
ベトナムの労働法は従業員の保護を重視しており、日本の労働法制とは異なる規定が数多く存在します。雇用契約の締結から就業規則の作成、解雇手続きに至るまで、現地の弁護士による法的サポートは欠かせません。特に試用期間の設定や雇用契約の種類(有期・無期)に関する規制は、実務上のトラブルが発生しやすい領域です。
ベトナムでは解雇要件が厳格に定められており、不適切な解雇は多額の損害賠償につながるリスクがあります。社会保険料の負担、残業時間の上限規制、外国人労働者の労働許可証取得など、コンプライアンス上の論点は多岐にわたります。弁護士は就業規則の策定支援から労働紛争の調停まで、幅広い場面で企業を支えてくれる存在です。
- 雇用契約書のベトナム法準拠でのレビューと作成
- 就業規則や社内規程の策定支援
- 解雇手続きの適法性の確認とリスク評価
- 労働紛争発生時の調停・仲裁対応
紛争解決の方法と訴訟仲裁の使い分け
ベトナムでビジネス上の紛争が生じた場合、解決方法としては交渉、調停、仲裁、訴訟の4つの選択肢があります。一般的に、まずは当事者間の交渉を試み、それでも合意に至らない場合に第三者を介した手続きへ移行する流れとなります。
国際取引においては、ベトナム国際仲裁センター(VIAC)での仲裁が多く活用されています。VIACの仲裁判断はニューヨーク条約に基づき国際的な執行力を有するため、日本企業にとっても利用しやすい制度です。ベトナムの裁判所で外国企業が訴訟を行う場合、判決の執行に時間がかかるケースがあるため、契約段階で仲裁条項を盛り込んでおくことが推奨されます。弁護士は紛争の性質や金額に応じた最適な解決方法を提案してくれます。
| 解決方法 | 特徴 | 適したケース |
|---|---|---|
| 交渉 | 費用が低い、関係維持が可能 | 軽微な契約違反、取引先との継続的関係 |
| 調停 | 第三者の仲介で合意を促す | 労働紛争、比較的小規模な案件 |
| 仲裁 | 国際的な執行力、非公開手続き | 国際商取引、高額な紛争案件 |
| 訴訟 | 強制力のある判決、公開手続き | 権利侵害、法的強制力が必要な案件 |
知的財産権の保護と商標登録の流れ
ベトナムでは知的財産権の侵害事例が依然として報告されており、商標やブランドの保護は日本企業にとって優先度の高い課題です。知的財産権の登録はベトナム国家知的財産庁(IP Vietnam)が管轄しており、商標、特許、意匠、著作権など多くの分野をカバーしています。
商標登録の手続きには通常12〜18か月程度を要し、出願から登録までの各段階で弁護士の専門的な支援が役立ちます。ベトナムは先願主義を採用しているため、市場参入前のできるだけ早い段階で商標出願を行うことが重要です。現地での模倣品対策やブランド保護戦略の立案も、知的財産分野に強い弁護士に依頼すべき業務といえるでしょう。
- 商標・特許・意匠の出願から登録までの手続き代行
- 既存の知的財産権の侵害調査と権利行使
- 模倣品対策の戦略立案と税関登録の支援
- ライセンス契約における知的財産条項の設計
税務・コンプライアンスに関する助言
ベトナムの税制は法人税、付加価値税(VAT)、個人所得税、外国契約者税(FCT)など多層的な構造になっています。税制の改正が頻繁に行われるため、最新の情報に基づいた適切な税務戦略が求められます。特に移転価格税制に関しては、近年当局の調査が厳格化しており、関連当事者間取引を行う企業は文書化義務への対応が急務です。
税務とコンプライアンスの両面から企業を支援できる弁護士を確保することで、税務リスクの最小化と法令遵守の両立が実現します。弁護士は税務調査への対応、二重課税防止条約の活用、投資優遇措置の申請支援など、幅広い領域で助言を提供してくれます。会計事務所と弁護士事務所が連携してサービスを提供するケースも増えています。
- 法人税・VAT・個人所得税に関する最新規制への対応
- 移転価格税制の文書化と当局対応の支援
- 外国契約者税(FCT)の適用判断と最適化
- 税務調査時の交渉・代理業務
移民ビザと在留手続きの支援
日本から駐在員をベトナムに派遣する際には、労働許可証の取得やビザの申請が必要となります。外国人労働者の受け入れに関する規制はここ数年で大幅に改正されており、申請手続きの複雑化が進んでいます。弁護士は労働許可証の免除要件の確認から申請書類の作成、当局とのやり取りまでをサポートします。
外国人弁護士については、一般の労働ビザとは別にLSビザと呼ばれる専用ビザが用意されています。LSビザは最長5年間有効であり、一般の労働ビザよりも優遇された条件が適用される点が特徴です。このビザに基づく一時居住カード(TRC)の取得もデジタル申請で円滑に行えるようになりました。駐在員の家族帯同に伴うビザ手続きや、就業中のビザ更新にも弁護士の関与があるとスムーズに進みます。
| ビザの種類 | 対象者 | 有効期間 |
|---|---|---|
| LSビザ | 外国人弁護士 | 最長5年 |
| 一般労働ビザ | 外国人労働者全般 | 最長2年 |
| 投資家ビザ | 出資者・経営者 | 最長5年 |
日本企業が選ぶべきベトナムの弁護士の見極め方
ベトナムでの事業を成功に導くためには、信頼できる弁護士をパートナーに選ぶことが極めて重要です。ここからは、弁護士選定時に確認すべき具体的なポイントを6つの観点から解説します。
日本語対応とコミュニケーション能力の確認
ベトナムの弁護士に依頼する際、言語の壁は最も大きなハードルの一つです。複雑な法律問題を正確に伝え、的確な助言を受けるためには、日本語または英語での円滑なコミュニケーションが不可欠となります。近年は日本で法学を学んだベトナム人弁護士や、日本語が堪能なスタッフを擁する法律事務所も増えてきました。
単に言語が通じるだけでなく、日本の商慣習やビジネス文化を理解した上でアドバイスを提供できるかどうかが、パートナー選びの重要な判断基準となります。初回のミーティングで応答のスピードや質問に対する理解度を確認し、長期的な信頼関係を築ける相手かどうかを見極めることが大切です。通訳を介する場合にも、法律用語に精通した通訳者を起用しているかどうかをチェックしましょう。
- 日本語または英語での対応力をミーティングで直接確認
- 日本の商慣習やビジネス文化への理解度を評価
- 法律用語に精通した通訳者の有無を確認
- 応答スピードや質問への理解度を初回面談で判断
専門分野と実績の評価ポイント
ベトナムの弁護士を選ぶ際には、自社の課題に対応できる専門分野の実績を重視すべきです。労務問題、知的財産、M&A、不動産など、法律の各分野は高度に専門化しており、汎用的な法律知識だけでは対処が難しいケースが数多くあります。
弁護士や法律事務所の実績を客観的に評価するために、国際的なランキングの活用が有効です。「Legal 500」や「Chambers & Partners」といった法律事務所の格付けは、第三者の視点からの信頼性の高い評価として参考になります。また、ベトナム弁護士連合会(VBF)のディレクトリで登録状況や所属事務所を確認することも基本的な調査手段です。過去のクライアントからの推薦や、同業他社の紹介を通じて情報を収集する方法も効果的でしょう。
- VBFディレクトリで登録状況と所属事務所を確認
- 「Legal 500」「Chambers & Partners」等の国際ランキングを参照
- 自社の業種・課題に特化した実績の有無を確認
- 過去のクライアントからの推薦や評判を収集
報酬体系と費用見積もりのチェックポイント
ベトナムの弁護士費用は、日本と比較すると全般的に低い水準にありますが、事務所の規模や専門性、案件の複雑さによって大きく異なります。主な報酬体系としては、時間報酬、固定料金、成功報酬、月額顧問料の4つが一般的です。
見積もりを依頼する際には、報酬に含まれる業務範囲を具体的に確認し、追加費用が発生する条件を書面で明確にしておくことが重要です。複数の事務所から見積もりを取得し、費用だけでなくサービスの質や対応力も含めて総合的に比較検討しましょう。
| 報酬体系 | 費用目安(2026年) | 適したケース |
|---|---|---|
| 時間報酬 | 50〜300 USD/時間 | 相談業務、契約書レビュー |
| 固定料金 | 会社設立で5,000〜10,000 USD程度 | 定型的な手続き業務 |
| 成功報酬 | 獲得額の10〜30% | 債権回収、訴訟・仲裁 |
| 月額顧問料 | 案件や規模による | 継続的な法律相談 |
現地事務所やチームとの連携体制の確認
ベトナムに進出する日本企業の拠点は、ハノイ、ホーチミン市を中心に全国各地に広がっています。弁護士を選ぶ際には、自社の拠点がある地域にオフィスを構えているか、あるいは迅速に対応できる体制が整っているかを確認する必要があります。
大規模な法律事務所ではハノイとホーチミン市の両方にオフィスを持ち、ダナンなど中部地域にもネットワークを広げているケースがあります。日本の法律事務所と現地のベトナム法律事務所が提携関係にある場合、日本語でのコミュニケーションとベトナム法の専門性を両立できるメリットがあります。チームの構成や担当弁護士のバックグラウンド、アソシエイト弁護士の経験年数なども事前に確認しておくと安心です。
- 自社拠点の近くにオフィスがあるかどうかを確認
- ハノイ・ホーチミン市の二拠点体制の有無をチェック
- 日本の法律事務所との提携関係を活用
- 担当弁護士やチームメンバーの経験を事前に把握
トラブル時の対応力と緊急時の連絡方法
ビジネスにおける法的トラブルは、予告なく突然発生するものです。税務当局の査察、労働争議の勃発、取引先との深刻な契約紛争など、緊急時に迅速に対応できる弁護士の存在は事業の存続に関わります。弁護士を選定する段階で、緊急時の連絡方法やレスポンスタイムについて事前に取り決めておくことが重要です。
24時間対応の連絡窓口を設けているか、緊急案件の受付から初回対応までのタイムラインが明確になっているかを確認しておきましょう。過去に類似のトラブルにどのように対処した経験があるかをヒアリングすることで、実際の対応力を推し量ることができます。また、複数の弁護士が案件に関与するチーム体制を取っている事務所であれば、担当者不在時でも対応が途切れるリスクを軽減できるでしょう。
- 緊急時の連絡方法とレスポンスタイムの取り決め
- 24時間対応の窓口や緊急案件の受付体制の有無
- 類似トラブルへの対処経験のヒアリング
- 担当者不在時のバックアップ体制の確認
依頼前に行うべき確認事項
弁護士に正式に依頼する前の事前確認は、後々のトラブルを未然に防ぐための重要なステップです。まずは弁護士個人の資格がVBFに正式に登録されているかどうかを確認しましょう。名刺やウェブサイトの記載内容だけで判断するのではなく、公式のディレクトリで照合することが基本です。
法律事務所の経営状態やコンプライアンスの状況も確認対象となります。過去に懲戒処分を受けた履歴がないか、職業賠償責任保険に加入しているかなど、信頼性を裏付ける客観的な情報を収集してから契約に進むことが推奨されます。委任契約書の内容には、業務範囲、報酬、守秘義務、契約解除条件などが明確に記載されているかを確認し、不明な点は契約前に必ず解消しておきましょう。
| 確認項目 | 確認方法 | 重要度 |
|---|---|---|
| VBF登録状況 | VBF公式ディレクトリで照合 | 最重要 |
| 懲戒処分の履歴 | 弁護士会への照会 | 重要 |
| 賠償責任保険の加入 | 事務所への直接確認 | 重要 |
| 委任契約書の内容 | 業務範囲・報酬・守秘義務の精査 | 最重要 |
よくある質問
Q. 外国人がベトナムで弁護士資格を取得することは可能ですか
A. ベトナム法弁護士の資格はベトナム国民に限定されており、外国人が取得することはできません。ただし、自国の弁護士免許を保持する外国人は、ベトナム司法省に登録することで「外国法事務弁護士」として活動することが可能です。この場合、外国法や国際法に関する助言は行えますが、ベトナム法の直接助言や裁判所での代理業務は認められていません。
Q. ベトナムで弁護士に依頼する費用はどのくらいですか
A. 2026年現在の目安として、時間報酬は50〜300 USD/時間、会社設立の固定料金は5,000〜10,000 USD程度です。成功報酬型の場合は獲得額の10〜30%が相場となっています。事務所の規模や弁護士の経歴、案件の複雑さによって費用は大きく変動するため、複数の事務所から見積もりを取得して比較検討することをおすすめします。
Q. 日本語が通じるベトナムの弁護士はどうやって探せますか
A. 日本の弁護士事務所がベトナム現地の法律事務所と提携しているケースを探すのが最も効率的です。また、ベトナム弁護士連合会のディレクトリや「Legal 500」「Chambers & Partners」などの国際ランキングも参考になります。在ベトナム日本国大使館や日本商工会議所(JCCH)が提供する情報を活用する方法もあり、同業他社からの紹介を受けることも有効な手段です。
ベトナムのビジネスには展示会出展が効果的
ベトナムでは、展示会への出展が企業のマーケティング戦略において極めて重要です。現地で開催される展示会は、自社の商品・サービスを認知してもらう最適な機会であり、特にBtoB企業にとって欠かせない施策の一つとされています。開催数も年々増加しており、幅広い業種で行われる展示会は、効果的な販促チャネルとして注目されています。
展示会はテストマーケティングの場としても活用でき、現地顧客の反応を直接確かめることができます。さらに、単なる商品PRにとどまらず業界関係者とのネットワークづくりにも活用できるため、新規参入企業が現地での認知度を高め人脈を広げる上でも有効です。
このような対面での商談や交流を通じて有望な新規顧客の獲得やパートナー企業の発掘にもつながるため、展示会出展はベトナムにおけるBtoBビジネスで欠かせない施策となっています。
まとめ
ベトナムの弁護士制度は日本とは大きく異なり、資格の種類から取得プロセス、外国人弁護士の活動制限まで、独自の体系が構築されています。2026年現在、国家法的ポータルの運用開始や公共弁護士制度の試験導入など、司法のデジタル化と専門分化が急速に進んでいます。
日本企業がベトナムで事業を展開する際には、企業設立の手続きから労務管理、知的財産の保護、紛争解決に至るまで、現地の法規制に精通した弁護士の支援が不可欠です。弁護士を選ぶにあたっては、VBFでの登録状況、専門分野の実績、日本語での対応力、報酬体系の透明性などを総合的に確認し、信頼できるパートナーを見極めることが事業の成功につながります。
株式会社ビッグビートは、海外展示会出展のサポートをしています。特に、タイやベトナムに現地法人を有しており、出展企画の立案から展示ブースの設営、コンパニオンをはじめとする運営スタッフの手配や管理に至るまで、日本の高い品質基準を維持したまま、現地からの迅速なサポートを提供することが可能です。
この記事のまとめ
- ✓ベトナム法弁護士の資格はベトナム国民に限定され、外国人は外国法事務弁護士として登録する
- ✓2026年の司法デジタル化により法的情報へのアクセスが大幅に向上している
- ✓VBF公式ディレクトリや国際ランキングを活用して弁護士の信頼性を確認する
- ✓委任契約前の事前確認を徹底し、業務範囲と報酬を書面で明確にする
参考情報:
- Vietnam’s Proposed Amendments to the Law on Lawyers:
- Vietnam’s National Legal Portal: A New Tool to Enhance Legal Access and Trasparency
- 108 第 3 章 日本の法曹有資格者がベトナムで提供できる法的支援
- ベトナムの弁護士資格について – ホーチミン転職・就職 クイックベトナム
- CSDLVBQPPL Bộ Tư pháp – On Lawyers
- Vietnam: guide for English and Welsh solicitors and law firms
- Latest Business Law Updates in Asia 2025
- Legal documents of Vietnamese laws
- Vietnam Moves Toward a Public Lawyer Regime
著者:ビッグビート ASEAN推進編集部
ベトナム・タイを中心としたASEAN圏に進出、あるいはこれから進出を計画している事業会社に対し、現地でのBtoBマーケティング領域を総合的に支援する広告会社です。ASEAN圏現地での実務経験や企業支援の実績を基に、現地に根差した信頼性の高い情報発信を行っています。


