Home 9 ブログ 9 ベトナムSNSマーケティング入門!プラットフォームの選択と運用のコツ
ベトナム進出 日系企業

ベトナムでのビジネス展開の成功には、現地のSNS活用が欠かせません。総人口の80%以上がインターネットを利用し、7,300万人以上がSNSを日常的に使用するベトナムでは、デジタルマーケティングが非常に重要な役割を担っています。本記事では、2025年最新のベトナムSNS事情から、効果的なマーケティング戦略、各プラットフォームの特徴と選び方まで、実践的なノウハウをご紹介します。

ベトナムSNS市場の全体像と特徴

ベトナムのSNS市場は、東南アジア諸国の中でも特に活況を呈しています。総人口の約80%にあたる8,000万人がインターネットを利用し、そのうち7,300万人がSNSを日常的に活用しています。また、スマートフォン普及率は84%を超え、ユーザーは1日平均約2時間半をSNSに費やしています。

ベトナムのSNS利用率73.3%はASEAN内でも高水準であり、シンガポール(85%)、マレーシア(83%)に次ぐ普及率を示しています。ベトナム市場ではSNSが情報収集から購買意思決定まで一貫した顧客体験を提供する場となっている点が特徴です。このため、企業のマーケティング活動においてSNSは必須のチャネルとなっています。

デジタルネイティブ世代の影響力

ベトナム人口の30%以上を占めるZ世代(1997〜2012年生まれ)はSNSネイティブであり、彼らの消費行動は口コミやインフルエンサーからの強い影響を受けています。都市部を中心に若年層は新しいトレンドに敏感で、TikTokやInstagramなどの視覚的プラットフォームでの情報発信が購買行動に直結する傾向が顕著です。

また、ベトナムの富裕層(約250万人規模)も重要なターゲットです。彼らは高級品、教育、海外旅行などへの関心が高く、Facebook広告などで属性を絞り込んだアプローチが効果的です。限定感や特別感を演出したコンテンツが彼らの関心を引きつけます。

ベトナムの主要SNSプラットフォームと特徴

ベトナムでは複数のSNSプラットフォームが利用されていますが、それぞれに独自の特徴や利用者層があります。効果的なマーケティング戦略を立てるためには、各プラットフォームの特性を理解し、ターゲット層に合わせた選択が重要です。

Facebook

Facebookはベトナムで最も普及しているSNSプラットフォームで、7,300万人以上のユーザーを抱えています。全年齢層に幅広く利用されており、都市部から地方まで高い浸透率を誇ります。企業のブランディングやコミュニティ形成、広告配信の基盤として非常に効果的です。精度の高いターゲティング広告機能が魅力で、年齢、地域、趣味、行動パターンなどに基づいて広告を配信できます。

ベトナムでは、Facebook上のグループ機能も活発に利用されており、コミュニティマーケティングの場としても大きな可能性を秘めています。また、Facebook Messengerを通じたチャットコマースも一般的で、消費者との直接的なコミュニケーションチャネルとして重要です。

Zalo

Zaloはベトナム国内で開発されたメッセージアプリで、ローカルな特性を活かした機能が豊富です。ベトナム人の日常コミュニケーションに欠かせないツールとなっています。ビジネスアカウントを開設することで、公式情報の発信やチャットサポート、プロモーション配信などが可能です。

特に注目すべきは、Zaloを通じたチャットコマースの急速な普及です。多くの中小企業や個人事業主が、ECサイトを介さずにZalo上で商品紹介から注文受付、決済までを完結させています。ベトナム特有のビジネスチャネルとして押さえておくべきプラットフォームです。

TikTok

TikTokはベトナムの若年層を中心に爆発的な人気を誇るプラットフォームで、2025年には利用率70%近くまで上昇しています。エンターテイメント性の高いショート動画フォーマットが特徴で、ブランド認知度向上や若年層へのアプローチに効果的です。

近年特に注目されているのが「TikTok Shop」を活用したライブコマースです。インフルエンサーによるライブ配信と商品販売を組み合わせた手法が急速に普及しており、化粧品や若者向けファッションなどの分野で多くの成功事例が生まれています。視聴者は気に入った商品をその場で購入できるため、購入障壁が低いのが特徴です。

Instagram

Instagramは都市部の若者や富裕層を中心に人気があり、ビジュアル訴求に適したプラットフォームです。ファッション、美容、ライフスタイル、グルメなどの分野で特に活用されています。フィード投稿、ストーリーズ、リール、ショッピング機能など、多様な表現方法を活用できます。

マーケティング活用においては、高品質な写真や動画でブランドの世界観を表現することが重要です。また、ハッシュタグ戦略やインフルエンサーコラボレーションを組み合わせることで、効果的なリーチが可能になります。特に富裕層向けの高付加価値商品のマーケティングに適しています。

2025年ベトナムSNSマーケティングの最新トレンド

ベトナムのSNSマーケティング環境は急速に変化しています。最新トレンドを把握し、時代に即した戦略を展開することが成功の鍵となります。ここでは、現在注目されている主要なトレンドと、それらを活用するためのポイントを解説します。

TikTokを活用したライブコマースの急成長

ベトナムSNSマーケティングで最も注目すべきトレンドの一つが「TikTokライブコマース」です。TikTok Shopの普及により、ライブ配信中に商品を紹介し、視聴者がその場で購入できる仕組みが確立されています。これは特に化粧品、ファッション、日用品などの分野で効果を発揮しています。

ライブコマースの成功には、視聴者との活発な交流が重要です。コメントへの対応や質問の拾い上げ、視聴者参加型の企画など、双方向コミュニケーションを意識した配信設計が求められます。ある化粧品のグローバルブランドは、現地インフルエンサーと連携したライブ配信と即時購入リンクの設置により、大幅な売上増加を実現しています。

チャットコマースの浸透と活用

ベトナムでは、Facebook MessengerやZaloを通じた「チャットコマース」が急速に普及しています。ECサイトを介さず、チャットツール上で商品紹介から注文、決済までを完結させるビジネスモデルです。特に小規模事業者にとって、低コストで始められるマーケティング手法として人気を集めています。

チャットコマースを効果的に活用するには、迅速かつ丁寧な応対体制の構築が不可欠です。問い合わせから24時間以内、できれば数時間以内の返信を心がけることが顧客満足度向上に繋がります。また、自動応答ボットを導入することで初期対応の効率化も可能です。ベトナムの小規模飲食店では、Zalo公式アカウントとMessenger自動応答ボットの導入だけで予約数が大幅に増加した事例も報告されています。

生成AIを活用したパーソナライズマーケティング

AIテクノロジーの進化により、SNSマーケティングにおけるパーソナライゼーションが新たなステージに入っています。生成AIを活用したコンテンツ制作やユーザー体験のカスタマイズが、差別化要因として重要性を増しています。

具体的な活用例としては、AIによる顧客データ分析と自動最適化広告配信が挙げられます。ユーザーの行動パターンや好みを分析し、最も反応が良いと予測されるコンテンツを自動生成・配信することで、エンゲージメント率と購買転換率の向上が期待できます。また、AIチャットボットを導入することで、24時間体制の顧客対応も可能になります。

Z世代向けマーケティング戦略の重要性

ベトナムでは人口の30%以上をZ世代(1997〜2012年生まれ)が占めており、彼らをターゲットとしたマーケティング戦略の重要性が高まっています。Z世代はSNSネイティブであり、従来の広告手法には懐疑的な傾向があります。

Z世代へのアプローチでは、エンターテイメント性と社会的意義を兼ね備えたコンテンツが効果的です。参加型キャンペーン(ハッシュタグチャレンジなど)や、社会貢献・サステナビリティを意識した発信が共感を得やすいでしょう。TikTok、Instagram、Facebookを組み合わせたクロスプラットフォーム戦略も有効です。特に口コミやインフルエンサーの影響力が強いため、信頼性の高いインフルエンサーとの協業も検討すべきでしょう。

ベトナム市場別のSNSマーケティング戦略

ベトナムは地域や所得層によって消費行動やSNS利用傾向が大きく異なります。効果的なマーケティングを展開するためには、ターゲット市場の特性を理解し、それに合わせた戦略を立てることが重要です。ここでは、主要な市場セグメント別のアプローチ方法を解説します。

ベトナム富裕層へのSNSアプローチ

ベトナムの富裕層市場は約250万人規模と推定され、高級品、教育、海外旅行などへの関心が高いという特徴があります。この層へのアプローチでは、質の高いコンテンツと特別感の演出が重要です。

FacebookやInstagramでは、属性を細かく絞り込んだターゲティング広告が効果的です。趣味(ゴルフ、高級車など)、地域(高級住宅街)、デバイス(最新iPhone使用者)などの条件を組み合わせることで、効率的なリーチが可能になります。また、限定感や特別感を演出するコンテンツ(招待制イベント、先行予約特典など)は富裕層の反応が良い傾向にあります。

富裕層自身のSNS発信を促す体験設計も重要です。インスタ映えするような空間や体験を提供することで、自発的な情報拡散につながります。高級レストランやホテル、ファッションブランドなどでは、この戦略が成功を収めています。

Z世代とミレニアル世代の違いを理解したアプローチ

ベトナムの若年層市場では、Z世代(1997〜2012年生まれ)とミレニアル世代(1981〜1996年生まれ)で大きく消費行動やSNS利用傾向が異なります。それぞれの特性を理解し、適切なアプローチを検討することが重要です。

Z世代はTikTokやInstagramを中心に利用し、短時間で消費できるショート動画コンテンツを好む傾向があります。彼らの注目を集めるには、エンターテイメント性の高い視覚的コンテンツが不可欠です。また、社会課題やサステナビリティに対する関心も高いため、ブランドの社会的責任や環境への取り組みを前面に出すことも効果的です。

一方、ミレニアル世代はFacebookを主に利用し、より詳細な情報や実用的なコンテンツを求める傾向があります。彼らは家族形成や住宅購入などのライフステージにあり、それに関連する商品・サービスへの関心が高いという特徴があります。投資や資産形成に関する情報も注目を集めています。ミレニアル世代向けには、価値提案を明確に伝える長めのコンテンツも効果的です。

効果的なSNSマーケティング実践ポイント

ベトナムでSNSマーケティングを成功させるには、実践的なノウハウが欠かせません。ここでは、実際の運用で役立つ具体的なポイントやテクニックを紹介します。

プラットフォーム選定の基準と組み合わせ戦略

効果的なSNSマーケティングを展開するためには、ターゲット層や目的に応じた適切なプラットフォーム選定が不可欠です。単一のプラットフォームに集中するよりも、複数のSNSを戦略的に組み合わせることで、相乗効果を生み出すことができます。

プラットフォーム選定では、自社の商品・サービスの特性とターゲット層のSNS利用傾向のマッチングを重視しましょう。例えば、若年層向けのファッション商品であればTikTokとInstagramの組み合わせ、ビジネス向けサービスであればFacebookとZaloの活用が効果的です。また、認知拡大フェーズと購買促進フェーズでは異なるプラットフォームを使い分けることも検討すべきです。

クロスプラットフォーム戦略では、各SNSの特性を活かしたコンテンツ設計が重要です。例えば、TikTokで短尺の印象的な動画を配信し、詳細情報はFacebookに誘導するといった連携が考えられます。各プラットフォーム間で統一感を持たせつつも、それぞれの特性に最適化したコンテンツ制作を心がけましょう。

インフルエンサーマーケティングの実践

ベトナムのSNSマーケティングにおいて、インフルエンサーの活用は非常に効果的な戦略です。インフルエンサーを通じた情報発信は、従来の広告よりも高い信頼性と拡散力を持ちます。

インフルエンサー選定においては、フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率や実際の影響力を重視することが重要です。1万人の熱狂的なフォロワーを持つマイクロインフルエンサーの方が、100万人の消極的なフォロワーを持つインフルエンサーよりも効果的なケースも少なくありません。また、インフルエンサーの発信内容や価値観と自社ブランドの親和性も慎重に検討すべきです。

コンテンツ制作と投稿スケジュールの最適化

SNSマーケティングの成否を左右する重要な要素が、コンテンツの質と投稿スケジュールの最適化です。

コンテンツ制作では、ベトナムの文化的背景や価値観を理解した上で、現地の嗜好に合わせた表現を心がけることが重要です。ベトナム語のネイティブチェックは必須で、単なる直訳ではなく、文化的なニュアンスまで考慮した翻訳が求められます。視覚的要素では、明るく鮮やかな色使いや、家族・友人との絆を表現した画像がベトナム人に好まれる傾向があります。

投稿スケジュールの最適化については、データ分析に基づいたアプローチが効果的です。一般的に、ベトナムでは平日の昼休み(12〜13時)や夕方(18〜21時)にSNS利用が増加します。しかし、業界やターゲット層によって最適な投稿時間は異なるため、自社アカウントのインサイト分析を通じて検証することをおすすめします。また、定期的な投稿頻度を維持することで、アルゴリズム評価の向上にもつながります。

ベトナムでのSNSマーケティングにおける法規制と注意点

ベトナムでSNSマーケティングを行う際には、現地の法規制や文化的配慮を理解することが重要です。適切な対応を怠ると、ブランドイメージの低下や法的リスクを招く可能性があります。ここでは、主要な法規制と注意すべきポイントを解説します。

ベトナムのSNS関連法規制(政令147号)

2024年に導入された政令147号は、ベトナムのSNS環境に大きな変化をもたらしました。この政令の主な内容には、SNSアカウントの実名認証義務化、データのベトナム国内保管義務、違法コンテンツの即時削除義務などが含まれています。

企業がSNSマーケティングを行う際には、公式アカウントの適切な認証手続きを行い、投稿内容やユーザーコメントを定期的にモニタリングする体制を整えることが重要です。特に政治的内容や社会的に敏感なトピックに関しては、細心の注意が必要です。

また、2025年可決見込みの広告法改正案では、インフルエンサーによる広告表示義務や虚偽広告への高額罰金など、新たな規制強化が予定されています。これらの法改正動向を常に把握し、マーケティング活動に反映させることが求められます。

データプライバシーと個人情報保護

ベトナムでは個人情報保護に関する法整備が進んでおり、SNSマーケティングにおいても顧客データの適切な取り扱いが求められています。ユーザーデータを収集する際には、明確な同意を得るプロセスを設け、データの利用目的を明確に伝えることが重要です。

収集したデータの保管についても、ベトナム国内のサーバーでの保管が義務付けられている点に注意が必要です。また、第三者へのデータ提供や越境データ転送に関しても規制があるため、法的アドバイスを受けながら適切に対応することをおすすめします。

さらに、キャンペーンやプロモーションを実施する際には、個人情報の収集・利用に関する明確な規約を設け、ユーザーに分かりやすく提示することが重要です。これにより、法的リスクを回避するだけでなく、ブランドへの信頼構築にもつながります。

文化的配慮と倫理的マーケティング

ベトナムは独自の文化や価値観を持つ国であり、SNSマーケティングにおいても文化的配慮が欠かせません。特に、ベトナムの伝統行事(テト(旧正月)、中秋節など)や家族観、宗教的価値観に関するコンテンツでは、現地の文化を尊重する姿勢が重要です。

ベトナム特有の歴史的背景や政治的文脈を理解し、配慮したコンテンツ作りを心がけることで、不必要な炎上リスクを避けることができます。また、現地スタッフやパートナーによるコンテンツチェックは、文化的な誤解を防ぐ上で非常に有効です。

ジェンダー表現や多様性の扱いについても、現地の価値観を考慮しましょう。ベトナムは伝統的な価値観と現代的な考え方が混在する社会であり、特に若年層を中心に価値観の変化が進んでいます。ターゲット層に応じた適切な表現を選ぶことが、効果的なコミュニケーションにつながります。

越境取引における税務・法務対応

SNSを通じたベトナム向けの越境ECやサービス提供を行う場合、税務・法務面での適切な対応が求められます。特に外国企業がベトナム国内で収益を得る場合、付加価値税やデジタルサービス税などの納税義務が発生する可能性があります。

越境取引を行う企業は、ベトナムの税務当局に対する登録や申告義務について、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。また、商品やサービスの表示、価格表示、返品・返金ポリシーなどについても、ベトナムの消費者保護法に準拠した対応が必要です。

さらに、特定の業種(健康食品、化粧品、医療機器など)では、輸入許可や製品登録などの追加的な規制が適用される場合があります。SNSマーケティングを通じて販売促進を行う前に、これらの規制要件を確認し、適切に対応することが重要です。

まとめ

本記事では、ベトナムSNSマーケティングの基礎から応用まで、市場概況、主要プラットフォームの特徴、最新トレンド、実践ポイントについて解説してきました。

  • ベトナムはSNS普及率が73.3%と高く、日常的な情報収集・購買チャネルとして機能している
  • 主要プラットフォームはFacebook、Zalo、TikTok、Instagramで、それぞれ異なる特性と利用者層がある
  • TikTokライブコマースやチャットコマースなど、SNSと販売を直結させる手法が急成長中
  • ターゲット層(Z世代、富裕層など)や地域特性に合わせた戦略設計が不可欠
  • インフルエンサー活用では単なるフォロワー数ではなく、エンゲージメント率や親和性を重視すべき
  • 法規制対応やリスク管理も含めた総合的なSNS運用体制の構築が重要

ベトナムでのSNSマーケティングを成功させるためには、現地の文化や慣習を理解し、ターゲット層に合わせた戦略を立てることが重要です。株式会社ビッグビートは、海外展示会出展のサポートをしています。特に、タイやベトナムに現地法人を有しており、出展企画の立案から展示ブースの設営、コンパニオンをはじめとする運営スタッフの手配や管理に至るまで、日本の高い品質基準を維持したまま、現地からの迅速なサポートを提供することが可能です。ベトナム市場でのSNSマーケティングや展示会活用についてお悩みの方は、ぜひご相談ください。