
ベトナムは安定した経済成長と若い労働力、ASEAN地域の中心に位置する地理的優位性から、日系企業の進出先として高い注目を集めています。しかし、文化や商習慣の違いから、すべての企業が成功しているわけではありません。本記事では、ベトナム市場で実際に成功を収めている日系企業の事例を分析し、その共通点や成功要因を詳しく解説します。ベトナム進出を検討している企業にとって、役に立つ情報をお届けします。
ベトナムの基本情報
まずはビジネスを展開する上で押さえておくべきベトナムの基本的な情報を抑えましょう。
ベトナムの基本データ
ベトナムは東南アジアのインドシナ半島東部に位置し、約32万9,241平方キロメートルの国土に約1億30万人が暮らしています。首都はハノイで、キン族が人口の約86%を占めており、残りは53の少数民族で構成されています。公用語はベトナム語です。
政体は社会主義共和国ですが、市場経済を積極的に導入しており、経済は安定した成長を見せています。主要宗教には仏教、カトリック、カオダイ教などが含まれ、多様な宗教文化が共存しています。
ベトナム市場への注目度が高まる理由
ベトナムが日系企業から注目される理由には、いくつかの要因があります。
高い経済成長率
ベトナムは2024年に7.09%の経済成長率を記録しました。この成長は主に製造業とサービス業によって牽引されており、安定した政治環境と開放的な経済政策が長期的な成長を支えている点が注目されています。
多くの国際機関や経済専門家は、ベトナムが今後も東南アジアで最も成長率の高い国の一つであり続けると予測しています。この持続的な経済発展が、日系企業にとって大きな魅力となっています。
若く豊富な労働人口
ベトナムの人口は約1億30万人で、平均年齢は31歳と非常に若いことが特徴です。この若い世代は教育熱心で、特に理系分野での教育水準が高く、技術力のある労働力として評価されています。
また、日本語教育も盛んで、日本語を学ぶ学生数が増加傾向にあります。若年層の多さと教育水準の高さが、労働力不足に悩む日本企業にとって大きな魅力となっているのです。
地理的優位性
ベトナムは東南アジアの中心に位置し、中国や他のASEAN諸国へのアクセスが良好です。日本からは約5〜6時間のフライトで到着でき、時差もわずか2時間という利便性があります。
また、3,200kmを超える長い海岸線を持ち、ハイフォン港やホーチミン市のカットライ港など主要な港湾施設が整備されています。この地理的優位性により、ベトナムはアジア地域でのサプライチェーン構築の重要拠点となっているのです。
ベトナムの地域特性
ベトナムでビジネスを展開するには、地域ごとの特性を理解することが重要です。それぞれの地域で産業構造や消費者特性が異なるため、進出戦略も地域に合わせて調整する必要があります。
主要地域の特徴と産業集積
ベトナムは主に北部・中部・南部の3つの地域に分けられ、それぞれ異なる特性を持っています。日系企業の進出を検討する際は、これらの地域特性を理解し、自社のビジネスモデルに最適な立地を選択することが重要です。以下に主要地域の特徴を詳しく解説します。
ハノイ市(北部)
ハノイは首都として政治・行政の中心地であり、伝統的な文化や歴史的建造物も数多く残る都市です。政府機関や大学などの教育機関が集中しており、高度人材の調達が比較的容易です。気候は四季があり、冬場は冷え込むことがあります。
産業面では電子機器、自動車部品などの製造業が発達しており、日系の大手製造業も多く進出しています。また、周辺のバクニン省やバクザン省などの工業団地と合わせて、北部ベトナムの製造業集積地を形成しています。
バクザン省(北部)
バクザン省はハノイ市から北東に約50kmに位置し、近年急速に工業化が進んでいる地域です。特に電子部品製造、自動車部品産業の集積地として知られています。サムスン、キヤノン、フォックスコンなどの大手企業が工場を設立しており、それに伴い多くの部品メーカーも進出しています。
豊富な労働力と比較的安価な土地代が魅力で、ハノイ市街地の地価高騰を避けたい企業にとって魅力的な選択肢となっています。また、中国国境に近いという地理的特性から、中国からの部材調達にも便利です。
バク二ン省(北部)
バクニン省はハノイ市の東側に隣接し、早くから工業団地開発が進められてきた地域です。特にベトナム北部の電子産業の中心地として知られ、サムスン電子のスマートフォン生産拠点が立地しています。
交通インフラも整備されており、ノイバイ国際空港やハイフォン港へのアクセスも良好です。また、教育水準の高い労働力が確保しやすく、技術集約型産業に適した環境が整っています。2025年現在、多くの日系企業が進出しており、日本人コミュニティも形成されています。
ホーチミン市(南部)
ホーチミン市はベトナム最大の商業都市で、国内GDPの約20%を占める経済の中心地です。国際色豊かで開放的な雰囲気があり、外国人にとって生活しやすい環境が整っています。気候は一年を通して温暖で、乾季と雨季に分かれています。
産業面では、サービス業、IT産業、金融業が発達しており、消費市場としても最も魅力的な地域です。周辺のビンズオン省やドンナイ省と合わせて、南部経済圏を形成しています。特に近年は不動産開発やIT企業の進出が目立ちます。
ビンズオン省(南部)
ビンズオン省はホーチミン市の北側に隣接し、ベトナム南部最大の工業地帯として発展しています。1996年以来、計画的に工業団地の開発が進められ、現在では30以上の工業団地が稼働しています。
特に、繊維・縫製、家具製造、機械製造、電子部品などの産業が集積しています。日系企業も多く進出しており、イオンモールなどの大型商業施設も開設されています。労働者の平均年齢が若く、技術習得意欲が高いことも特徴です。
ダナン市(中部)
ダナン市は中部最大の都市で、美しいビーチと近代的な都市インフラを兼ね備えた観光都市でもあります。北部と南部の中間に位置し、両地域へのアクセスが良いという利点があります。
産業面では観光業が中心ですが、近年はIT産業も発展しており、ソフトウェア開発やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)センターの設立も増えています。また、ダナン港を持つ物流拠点としての機能も持ち合わせています。
ベトナム進出した日系企業の成功事例
ここでは、ベトナム市場で成功している日系企業の事例を紹介します。
小売業の成功事例
小売業界では、日本の品質と現地のニーズを融合させた戦略が成果を上げています。特に都市部の中間層・富裕層をターゲットにした展開が目立ちます。
ニトリは2025年時点でベトナム国内に15店舗以上を展開し、10年間で70店舗という目標に向けて着実に成長しています。ホーチミン市やハノイ市の主要ショッピングモールを中心に出店し、日本品質の家具・インテリア商品を現地の住環境や好みに合わせて提供している点が高く評価されています。2025年4月にホーチミン1区ドンコイ通りにオープンしたグローバル旗艦店は、ベトナム市場における同社の成功を象徴しています。
同様に、コーナンも着実に店舗数を増やしています。日用品を中心としながらも、ベトナム人の生活様式や住居環境に合わせた商品構成に注力し、地域密着型の店舗運営を行っています。特に、DIY文化があまり根付いていないベトナムにおいて、簡単な組み立て家具や生活改善グッズの提案型販売が好評を得ています。
製造業の成功事例
製造業では、人材育成と技術移転を重視したアプローチが成功につながっています。特に電子部品や精密機器分野での事例が目立ちます。
住友電装は自動車用ワイヤーハーネスの生産拠点として、2013年にハノイ近郊に工場を設立しました。同社の成功の秘訣は、現地従業員への徹底した技術教育と品質管理システムの導入にあります。特に、「モノづくりは人づくり」という理念のもと、技術者育成プログラムを構築し、現地スタッフが主体的に品質管理や生産効率向上に取り組める環境を整えています。
また、パナソニックは家電製品の生産・販売で成功を収めています。同社は現地の気候条件や生活習慣に合わせた製品開発を行い、「メイド・イン・ベトナム」の製品を国内市場だけでなく、ASEAN諸国への輸出も視野に入れた事業展開を進めています。さらに、2025年には環境配慮型製品の開発にも注力し、SDGsへの取り組みも積極的に進めています。
サービス業の成功事例
サービス業では、日本のサービス品質を維持しながらも、現地のニーズや文化に合わせたカスタマイズが重要です。特に若年層をターゲットにしたサービスが好調です。
イオンモールは、ショッピングだけでなく、エンターテイメントや食事、家族で楽しめる空間として、ベトナムの消費者から高い支持を得ています。単なる日本式ショッピングモールの移植ではなく、ベトナム人の消費行動や家族観を理解した上での施設設計と店舗構成が成功の要因となっています。特に、週末に家族全員で過ごせる場所としての価値提供に成功しています。
また、いくつかの日系飲食チェーンも成功を収めています。丸亀製麺は、日本のうどん文化を伝えながらも、現地の味覚に合わせたメニュー開発や価格設定を行い、若年層を中心に人気を集めています。特に、ベトナム人の好みに合わせた辛味や甘味の調整、現地の食材を活用した限定メニューの開発などが、リピーターを増やす要因となっています。
IT・ソフトウェア開発の成功事例
IT分野では、ベトナムの優秀なエンジニアを活用した開発拠点の設立が増えています。オフショア開発だけでなく、現地市場向けのサービス開発も活発化しています。
FPTジャパンホールディングスは、日本企業向けのITソリューション提供で成長を続けています。同社は日本語能力の高いITエンジニアの育成に力を入れ、ブリッジSE(日本とベトナムをつなぐ役割のシステムエンジニア)の育成に成功している点が強みとなっています。また、単なる開発コスト削減だけでなく、DXやAI開発など高付加価値領域でのサービス提供も拡大しています。
トランスコスモスは、BPOサービスで成功を収めています。日本語対応可能なオペレーターを多数雇用し、日本企業のカスタマーサポートやバックオフィス業務を受託しています。同社は人材育成に特に力を入れており、日本語教育だけでなく、日本のビジネスマナーや文化理解を促進するプログラムを導入している点が、高品質なサービス提供につながっています。
ベトナム進出に成功している日系企業の共通点
ベトナム進出で成功を収めている日系企業には、いくつかの共通点があります。これらの要素を理解し、自社の進出方針や戦略に活かしましょう。
徹底した現地市場理解と適応
ベトナム市場で成功している企業は、単に日本の商品やサービスをそのまま持ち込むのではなく、現地の消費者ニーズや市場特性を深く理解し、それに合わせた調整を行っています。市場調査を入念に行い、ベトナム消費者の嗜好や購買行動を徹底的に分析した上で事業戦略を構築しているのです。
例えば、ニトリやダイソーは、商品ラインナップや価格帯をベトナム市場向けに最適化しています。ニトリは住居スペースが比較的小さいベトナムの都市部向けにコンパクトな家具を充実させ、ダイソーは日本では100円均一ですが、ベトナムでは多様な価格帯を設定し、品質と価格のバランスを取っています。
また、パナソニックは、高温多湿の気候に対応した家電製品を開発・販売し、現地ニーズに応えています。このように、日本品質を維持しながらも、現地の生活様式や環境に合わせた製品・サービス開発が成功につながっています。
段階的かつ計画的な事業展開
成功企業に共通するもう一つの特徴は、拡大ペースの慎重さです。多くの企業は、まず大都市を中心に小規模で参入し、市場反応を見ながら段階的に事業を拡大しています。初期投資を抑制しつつ、市場からのフィードバックを事業戦略に反映させる柔軟なアプローチが、リスク管理と成長の両立を可能にしています。
小売業では、ホーチミン市やハノイ市などの大都市から出店を始め、消費者の反応や店舗運営の課題を把握した上で、ダナンやカントーなどの地方都市へ展開するパターンが多く見られます。イオンモールも同様のアプローチを取り、各地域の消費者特性に合わせた店舗づくりを行っています。
製造業においても、最初は小規模な生産ラインから始め、現地サプライヤーの開拓や人材育成を進めながら、徐々に生産能力を拡大するケースが多いです。この段階的アプローチにより、初期の失敗リスクを最小化しつつ、現地の事業環境に適応する時間を確保できます。
人材育成への積極的投資
ベトナムで長期的に成功している企業は、現地人材の採用と育成に特に力を入れています。単なる人件費削減ではなく、現地スタッフの能力開発と責任ある地位への登用を通じて、持続可能な組織づくりを行っています。
技術研修だけでなく、企業理念や品質に対する考え方など、企業文化の共有にも注力している点が、高い従業員定着率と生産性向上につながっています。特に製造業では、「5S」や「カイゼン」などの日本的品質管理手法を現地に根付かせるための取り組みが見られます。
また、日系IT企業では、技術者育成のための独自研修プログラムを構築し、最新技術の習得を支援するとともに、日本語能力向上のための語学研修も提供しています。こうした人材への投資が、高品質なサービス提供と企業の競争力強化につながっています。
現地パートナーとの強固な関係構築
成功を収めている多くの企業は、信頼できる現地パートナーとの協業を行っています。法的要件で合弁が必要な業種だけでなく、100%出資が可能な分野でも、現地の商習慣や規制への対応、市場開拓においてパートナーの存在が大きな役割を果たしています。
長期的な信頼関係構築を重視し、単なる契約関係を超えた協力体制を築くことが、事業の安定性と成長をもたらしています。特に、行政手続きや地元コミュニティとの関係構築において、現地パートナーの知見や人脈が大きな価値を持ちます。
イオンモールは地元デベロッパーとの協業で店舗展開を加速させ、製造業各社も現地サプライヤーとの関係強化を通じて、調達コスト削減と品質向上を実現しています。こうしたパートナーシップの構築が、現地でのビジネス展開をスムーズにする重要な要素となっています。
ベトナム進出における課題とその克服方法
ベトナム市場で成功を収めるためには、想定される課題を理解し、それに対する戦略を持つことが重要です。ここでは、日系企業が直面する主な課題と、それを乗り越えるための具体的な方法を紹介します。
商習慣と文化の違いへの対応
ベトナムと日本では商習慣や文化に大きな違いがあり、これが事業運営上の摩擦を生む原因となることがあります。特に、契約に対する考え方や時間感覚、交渉スタイルの違いは、日本のビジネス文化とは大きく異なります。
ベトナムでは契約書以上に人間関係と信頼関係が重視される傾向があり、この文化的特性を理解して対応することが重要です。成功している企業は、現地スタッフの意見を尊重し、双方向のコミュニケーションを重視しています。また、現地の祝祭日や文化的習慣を尊重し、社内イベントなどを通じて文化交流を促進しています。
例えば、旧正月(テト)は最も重要な祝祭日であり、この期間の休暇や特別ボーナスの支給は現地スタッフのモチベーション維持に欠かせません。また、「顔を立てる」ことを重視する文化を理解し、公の場での叱責を避けるなどの配慮も重要です。
人材確保と定着の課題
ベトナムでは経済成長に伴い、優秀な人材の獲得競争が激化しています。特に、日本語能力を持つ人材や高度なIT技術を持つエンジニアは需要が高く、採用と定着が課題となっています。また、若い労働者の転職率の高さも、安定した事業運営の障壁となることがあります。
この課題に対応するため、成功企業は単に給与水準だけでなく、キャリア開発機会や企業文化、職場環境など総合的な魅力を高める取り組みを行っています。特に若い世代は成長機会を重視する傾向があるため、これに応える人事制度の構築が効果的です。
具体的には、明確なキャリアパスの提示、定期的なスキルアップ研修の実施、成果に基づくインセンティブ制度の導入などが有効です。また、日本本社への研修派遣や、責任ある地位への登用も、優秀な人材の定着に貢献しています。
行政手続きと法規制への対応
ベトナムでは法規制や行政手続きが頻繁に変更されることがあり、これに適切に対応することが事業運営上の課題となります。特に、労働法、税制、外資規制などの分野では、最新情報の把握と適切な対応が求められます。
現地の法務・税務の専門家と連携し、常に最新の規制動向を把握する体制を整えることが重要です。成功している企業は、日系の専門サービス事業者や、日本語対応可能な現地コンサルタントとの関係構築を通じて、この課題に対応しています。
また、JETROやベトナム日本商工会議所(JCCI)などの団体が提供する情報や、同業他社とのネットワークも、規制変更への対応に役立ちます。こうした外部リソースを積極的に活用することで、行政手続きの負担を軽減することができます。
サプライチェーンと品質管理の課題
製造業を中心に、現地サプライヤーの品質管理や納期遵守が課題となることがあります。日本の厳格な品質基準を現地サプライチェーンに浸透させることは容易ではなく、特に中小サプライヤーとの取引では注意が必要です。
この課題に対応するため、成功企業はサプライヤー教育と品質監査に積極的に投資しています。単なる検査強化ではなく、サプライヤーの生産プロセス改善を支援する協力的なアプローチが効果的です。また、重要部品は複数のサプライヤーから調達するなど、リスク分散策も講じています。
例えば、自動車部品メーカーのデンソーは、主要サプライヤーに対して技術指導員を派遣し、品質管理手法の導入を支援しています。こうした取り組みが、サプライチェーン全体の品質向上と安定化につながっています。
ベトナム進出の第一歩:効果的な市場開拓方法
ベトナム市場への参入を検討する企業にとって、効果的な市場調査と情報収集は成功への第一歩です。実際の進出前に、市場の可能性を見極め、適切なアプローチ方法を決定することが重要です。
展示会・商談会への参加
ベトナムで開催される展示会や商談会は、市場調査や現地パートナー発掘の絶好の機会です。これらのイベントは、現地企業との接点を作り、市場動向を直接把握するための効率的な方法です。
単なる出展だけでなく、事前準備と事後フォローを含めた総合的な展示会戦略が重要です。特に、現地語資料の準備や通訳の手配、ブース設計など、細部まで配慮することで、効果的な商談が可能になります。
2025年に注目すべきベトナムの展示会としては、製造業関連企業にとって重要な機械工具・金属加工の国際展示会「VIMF」、物流やサプライチェーン分野に焦点を当てた「VILOG」、精密エンジニアリングやスマートファクトリー技術を紹介する「MTA Vietnam」、さらに、半導体や医療機器などの分野に向けたクリーンルーム技術の展示会「CLEANFACT」などがあります。
現地調査と市場データ収集
展示会参加と並行して、現地調査も重要です。競合分析や消費者調査、流通チャネルの確認など、実際に現地を訪問して得られる情報は貴重です。
特に重要なのは、ターゲット層の購買行動や価格感度、競合製品の市場ポジショニングなど、具体的なマーケティングデータの収集です。統計データだけでなく、実際の店舗訪問や消費者インタビューなど、質的調査も組み合わせることで、より深い市場理解が可能になります。
例えば、小売業であれば、主要商業施設での店舗視察や競合製品の価格調査、消費者の購買行動観察などが有効です。製造業であれば、潜在的な取引先企業への訪問や、工業団地の視察なども重要な情報源となります。
現地代理店・パートナー選定
多くの日系企業は、初期段階で現地代理店やパートナー企業との協業を通じて市場参入します。
財務状況や業界での実績だけでなく、企業文化の親和性や長期的なビジョンの共有も重要な選定基準です。特に、コミュニケーションの質や問題解決への姿勢は、長期的なパートナーシップの成否を左右します。
候補となる企業の評価では、既存の取引先や顧客からの評判確認、複数回の面談を通じた経営陣の姿勢確認、財務データの精査などが必要です。また、小規模なテストプロジェクトを通じて協業の質を確認することも有効です。
パートナーシップの構築においては、契約内容の明確化も重要です。特に、責任範囲、コスト分担、知的財産権の保護、紛争解決手段などについて、専門家のアドバイスを受けながら慎重に契約を結ぶことが推奨されます。
効果的なマーケティング戦略
ベトナム市場での効果的なマーケティングには、現地の消費者行動や媒体利用状況を理解した戦略が求められます。
ベトナムはスマートフォン普及率が高く、若年層を中心にSNSの利用が活発です。そのため、特にデジタルマーケティングの重要性が高まっています。FacebookやZalo(ベトナム最大のメッセンジャーアプリ)、TikTokなどのプラットフォームを活用したマーケティングが効果的です。また、インフルエンサーマーケティングも、若年層へのリーチに有効な手段となっています。
一方、伝統的なマーケティング手法も依然として重要です。特に、ブランド認知度向上のためのイベント開催や、大型商業施設でのプロモーション活動なども効果的です。オンラインとオフラインを組み合わせた統合的なマーケティング戦略が、幅広い消費者層へのリーチを可能にします。
まとめ
本記事では、ベトナム進出に成功している日系企業の事例分析を通じて、成功の共通点と課題克服の方法を詳しく解説してきました。高い経済成長率と若い労働力を持つベトナム市場は、多くの日系企業にとって魅力的な進出先となっています。
- 成功企業は徹底した現地市場理解と適応を行っている
- 段階的かつ計画的な事業展開がリスク低減と成長の両立を可能にする
- 人材育成への積極的投資が高い従業員定着率と生産性向上につながる
- 現地パートナーとの強固な関係構築が事業の安定性と成長をもたらす
- 商習慣の違いや行政手続きの複雑さなどの課題には、専門家との連携が有効
- 展示会参加や現地調査を通じた市場理解が進出の第一歩となる
ベトナム市場への進出を検討されている企業は、これらの成功要因を参考にしながら、自社の強みを活かした戦略を構築することをお勧めします。また、市場調査や展示会出展など初期段階から専門家のサポートを受けることで、進出プロセスをスムーズに進めることができます。
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