Home 9 ブログ 9 ベトナム進出時のコンサルティングの失敗しない選び方と注意点
ベトナム進出

ベトナムは急速な経済成長と地理的優位性から、日本企業の海外進出先として注目を集めています。しかし、言語や文化の違い、複雑な法規制など、進出時には多くの障壁が存在します。こうした課題を乗り越え、ベトナム進出を成功させるためには、専門知識を持ったコンサルティング企業の活用が効果的です。本記事では、ベトナム進出を検討する企業が知っておくべきコンサルティング活用のメリットや選び方、注意点について詳しく解説します。

ベトナム進出の基本ステップとコンサルティングの必要性

ベトナムへの進出を検討する際、どのようなプロセスを経るのか、そしてなぜコンサルティング支援が必要なのかを解説します。

ベトナム進出の4つの基本ステップ

ベトナム進出は一般的に「調査」「計画」「設立」「事業展開」の4段階に分かれます。それぞれの段階で異なる課題が存在し、専門的な知識やサポートが必要となります。

まず「調査」段階では、市場規模や競合状況、消費者ニーズなどを詳細に分析します。この初期段階での調査を軽視すると、後に大きなリスクを伴う可能性があるため、データに基づいた客観的な市場分析が不可欠です。

次に「計画」段階では、具体的な進出戦略や投資額、リスク評価などを行い、実現可能性を検討します。日本国内と同様に、必要に応じて事業計画書を作成し、投資対効果や資金調達プランを明確化することが求められます。

「設立」段階では、外資規制、税務、労務などの法令を確認しながら、法人登記や各種許認可取得を行います。ベトナムでは法改正が頻繁に行われるため、最新の規制情報を常に確認する必要があります。

最後の「事業展開」段階では、現地オフィス設立、人材採用、販売チャネル構築などを行い、実際のビジネスを稼働させます。現地商習慣や文化の違いに対応したリスク管理が重要となります。

なぜコンサルティング支援が必要なのか

ベトナム進出において、現地の制度や商習慣に詳しいコンサルタントの支援を受ける理由は主に以下の点にあります。

まず、ベトナムの法規制や行政手続きは複雑で、頻繁に変更されます。また、文書の多くはベトナム語で提供されるため、言語の壁を越えて正確な情報を得るには専門家の支援が不可欠です。

また、ベトナムでのビジネスはコネクションや人間関係が重要な役割を果たします。現地に強いネットワークを持つコンサルタントは、適切なパートナーや取引先の紹介、行政機関との円滑なコミュニケーションを支援してくれます。

さらに、進出前から進出後まで一貫したサポートを受けることで、予期せぬトラブルへの対応や、文化的な違いから生じる誤解を最小限に抑えることができます。

ベトナム進出におけるコンサルティングの主な役割

ベトナム進出を成功させるためには、各ステップに応じた適切なサポートが必要です。コンサルティング企業はさまざまな役割を担い、企業の進出をサポートします。

調査段階でのコンサルティング支援

進出の初期段階では、市場の実態把握が何よりも重要です。コンサルティング企業は市場分析や競合調査、消費者動向などを専門的視点で実施し、データに基づく意思決定をサポートします。

具体的には、市場規模の推計、競合企業の分析、消費者の購買行動調査、規制環境の確認などを行います。特に、日本企業が進出を考える際には、現地の商習慣や文化的背景も含めた総合的な調査が成功の鍵となります。

調査段階で信頼性の高いデータを収集することで、進出の是非や戦略の方向性を適切に判断できるようになります。多くの企業がこの段階での調査を軽視してしまいがちですが、後々の大きなリスクを回避するためにも、プロの力を借りて徹底した調査を行うことをおすすめします。

計画段階でのコンサルティング支援

市場調査の結果を踏まえ、具体的な事業計画を策定する段階では、参入戦略や収益予測の策定を補助し、現地特有のリスクに対する対策を提案します。

コンサルタントは、ベトナム市場における適切な価格設定、流通チャネルの選択、マーケティング戦略の立案などをサポートします。また、ベトナム特有のビジネスリスクを洗い出し、それに対する対応策を事前に準備することで、事業の安定性を高めます。

事業計画では、日本の常識が通用しない場面も多いため、ベトナムの現地事情に精通したコンサルタントの知見が特に役立ちます。例えば、コスト計算においては、見えない費用や賄賂のリスクなども考慮した現実的な収支計画が必要です。

設立段階でのコンサルティング支援

法人設立や許認可取得の段階では、会社設立や許認可取得の手続きを代行し、必要な資料作成や翻訳などをサポートします。この段階では、現地行政とのやり取りや書類不備への対処など、スムーズな設立を実現するための支援が中心となります。

ベトナムでは、外資系企業の設立手続きは複雑で、多くの書類や許認可が必要となります。また、担当者によって解釈が異なるケースもあり、経験豊富なコンサルタントのサポートがなければ、予想以上の時間とコストがかかる場合があります。

設立手続きの遅延を最小限に抑え、効率的に進めるためにも専門家の介入が重要です。コンサルタントは過去の経験から、どの部分で時間がかかりやすいか、どのような書類が追加で求められる可能性があるかなどを予測し、事前に対策を講じることができます。

事業展開段階でのコンサルティング支援

実際にビジネスを開始した後も、人材採用、オフィス探し、会計・税務・法務手続きなど、運営面での実務サポートを提供し、現地ネットワークの活用やリスク管理のアドバイスを行います。

特に重要なのが人材採用と労務管理です。ベトナムでは離職率が高く、人材の定着が課題となるケースが多いため、適切な採用戦略や評価制度の構築が必要です。コンサルタントは自社の採用ノウハウを活かし、優秀な人材の確保と定着をサポートします。

また、日々の会計処理や税務申告、法令遵守なども重要な課題です。ベトナムの税法や労働法は頻繁に改正されるため、最新情報を常に把握しておくことが安定した事業運営には欠かせません。コンサルタントは、これらの情報を適時に提供し、法令違反のリスクを最小化します。

ベトナム進出時のコンサルティング企業の選び方と評価基準

適切なコンサルティング企業を選ぶことは、ベトナム進出の成否を左右する重要な要素です。どのような基準で選べばよいのか、具体的なポイントを解説します。

実績と経験

コンサルティング企業を選ぶ際、最も重視すべきは実績と経験です。自社と同業種・同規模の企業支援実績があるかどうかを確認しましょう。特に、成功事例だけでなく、失敗例やトラブル対応の事例も聞いておくことが重要です。

実績を確認する際は、単に「何社支援したか」という数字だけでなく、具体的にどのような課題をどう解決したのかという質的な情報も重視しましょう。例えば、「許認可取得が難航した際にどう対応したか」「現地パートナーとのトラブルをどう解決したか」といった具体例を聞くことで、そのコンサルタントの実力がわかります。

また、ベトナム国内での活動歴も重要です。ベトナムは北部と南部で商習慣や文化が異なるため、進出予定地域での経験があるかどうかも確認しておくべきポイントです。

コミュニケーション能力と言語対応力

コンサルティング企業との円滑なコミュニケーションは、プロジェクト成功の鍵となります。日本語でのコミュニケーションが可能か、レスポンスの早さはどうか、報告や連絡は適切に行われるかなどを事前に確認しておくことが大切です。

特に、日本人スタッフがいるかどうかは重要なポイントです。日本人スタッフがいれば、日本企業特有の要望や懸念事項を理解してもらいやすく、細かなニュアンスも伝わりやすくなります。

また、ベトナム語と英語、日本語のトリリンガル対応が可能かどうかも確認しておくと良いでしょう。特に行政手続きではベトナム語が必須ですが、ビジネスパートナーとの交渉では英語が使われることも多いため、両言語に対応できる体制があると安心です。

現地ネットワークと専門性の深さ

ベトナムでのビジネスでは、現地の行政機関や業界団体、企業とのネットワークが非常に重要です。優れたコンサルティング企業は、幅広いネットワークを持ち、必要に応じて適切な専門家や協力者を紹介してくれます。

例えば、法律事務所、会計事務所、不動産業者、人材紹介会社など、様々な専門家とのコネクションがあるかどうかを確認しましょう。また、業界団体や商工会議所とのつながりも、現地での情報収集や人脈形成に役立ちます。

特に政府機関とのパイプがあるコンサルタントは、最新の政策動向を把握しやすく、許認可取得もスムーズに進むことが多いです。JETROや日本商工会議所などの公的機関との連携実績があれば、より信頼性が高いと言えるでしょう。

費用体系と契約条件

コンサルティング費用は企業によって大きく異なります。単に金額の多寡だけでなく、何に対してどのような費用が発生するのか、明確な費用体系を確認することが重要です。

一般的な費用の目安としては、基本的な市場調査や計画支援で50万円~300万円程度、現地法人の設立支援で50万円~300万円程度、包括的支援(調査~設立~初期運営サポート)で300万円~1,000万円程度となっています。

契約形態としては、顧問契約型(月額定額)、時間契約型(実作業時間に応じた報酬)、成果報酬型(設定した成果に応じた報酬)などがあります。契約時には追加費用の発生条件や中途解約時の条件も含め、明確な合意を形成しておくことが重要です。

費用だけで選ぶと、後々追加費用が発生したり、想定外のトラブルに対応できなかったりする可能性があります。コストパフォーマンスを重視し、サービス内容と費用のバランスを見極めることが大切です。

ベトナム進出時のコンサルティング活用のメリットと注意点

コンサルティング企業を活用することで得られるメリットは多岐にわたりますが、同時に注意すべき点もあります。実際の事例を交えながら、メリットと注意点を詳しく見ていきましょう。

時間とコストの削減効果

コンサルティング企業を活用する最大のメリットの一つは、時間とコストの削減です。ベトナム進出には複雑な手続きや調査が必要ですが、これらを自社だけで行おうとすると、想定以上の時間とコストがかかることがあります。

例えば、市場調査の段階では、現地の情報収集に多くの時間と労力を要します。信頼できる情報源を見つけること自体が難しく、言語の壁もあります。コンサルタントを活用すれば、既存のデータベースや調査ノウハウを活かして、効率的に必要な情報を収集できます。

また、法人設立の段階では、複雑な行政手続きを経験豊富なコンサルタントが代行することで、書類の不備によるやり直しや手続きの遅延を最小限に抑えることができます。ある日系製造業では、コンサルタントの支援により許認可取得期間を当初予定の半分に短縮できたケースもあります。

リスク対策と実務課題への対応力

ベトナム進出には様々なリスクが伴いますが、コンサルタントの知見を活用することで、これらのリスクを事前に把握し、対策を講じることができます。

例えば、ある日本の小売企業は、独自に進出計画を進めていたところ、店舗立地の選定を誤り、来店客数が想定を大きく下回る事態に陥りました。その後にコンサルタントの支援を受けて市場調査をやり直し、顧客動線や競合状況を詳細に分析した結果、新たな立地戦略を策定し、業績を回復させることができました。

また、労務管理の面では、ベトナムの労働法に関する知識不足から、不適切な雇用契約を結んでしまい、後に労働争議に発展するケースもあります。コンサルタントの支援を受けることで、現地の法令に準拠した適切な人事制度を構築し、リスクを未然に防ぐことができます

文化的ギャップの橋渡し機能

ベトナムと日本の間には、ビジネス文化や商習慣に大きな違いがあります。コンサルティング企業は、こうした文化的ギャップを埋め、スムーズなコミュニケーションを実現する橋渡し役となります。

例えば、ベトナムでは「イエス」と言っても必ずしも同意を意味するわけではなく、単に相手の話を聞いたことを示す場合もあります。

コンサルタントは、こうした文化的背景を理解した上で、日本企業とベトナム企業や行政機関との間の誤解を防ぎ、円滑な関係構築をサポートします。

コンサルティング活用時の注意点と対策

コンサルティング企業を活用する際にも、いくつかの注意点があります。これらを認識し、適切に対処することで、より効果的にサービスを活用できます。

まず、すべてをコンサルタントに任せきりにしないことが重要です。あくまでも進出の主体は自社であり、重要な意思決定は自社で行う必要があります。コンサルタントはアドバイザーであり、最終的な判断と責任は企業側にあることを忘れないでください。

また、複数のコンサルティング企業から見積もりや提案を取り、比較検討することをおすすめします。サービス内容や費用は企業によって大きく異なるため、自社のニーズに最も適したパートナーを選ぶことが重要です。

さらに、契約前には必ず担当者との面談を行い、相性や信頼関係を確認しましょう。長期的なプロジェクトとなるため、良好なコミュニケーションが取れるかどうかは成功の鍵となります。

最後に、現地コンサルタントとの契約時には、賄賂やバックマージンといったリスクも存在します。信頼できる紹介や実績確認を通じて、透明性の高いパートナーを選ぶことが大切です。

ベトナム進出時のコンサルティング活用の実践ポイント

コンサルティング企業を選ぶ際や、実際に相談する際に役立つ具体的な質問リストと、効果的な活用のための事前準備について解説します。

コンサルタント選定時の重要質問

コンサルティング企業を選ぶ際には、適切な質問を通じて、その企業の実力や自社とのマッチングを見極めることが重要です。以下に、コンサルタント選定時に確認すべき重要な質問をご紹介します。

まず実績に関する質問として、「自社と同じような規模・業種でどのような成功事例がありますか?」「これまでに何社の日本企業のベトナム進出をサポートしてきましたか?」などが挙げられます。具体的な数字や事例を聞くことで、そのコンサルタントの経験値を把握できます。

次に進出プロセスに関する質問として、「法人設立には平均どれくらいの期間が必要でしたか?」「どのような課題が多く発生し、それをどう解決しましたか?」などが挙げられます。過去の経験に基づいた具体的な回答が得られるかどうかで、そのコンサルタントの実務能力を判断できます。

さらに、体制やネットワークに関する質問として、「担当者はどのような経歴・スキルを持っていますか?」「JETRO等公的機関との協働経験はありますか?」「現地の法律事務所や会計事務所とのネットワークはどの程度ありますか?」などを確認しておくと良いでしょう。

効果的なコンサルティング活用のための事前準備

コンサルティングサービスを最大限に活用するためには、自社側でも適切な準備を行うことが重要です。効果的な活用のための事前準備について解説します。

まず、進出の目的と戦略を明確にしておくことが大切です。「なぜベトナムに進出するのか」「どのようなビジネスモデルで展開するのか」「どのような成果を期待するのか」といった基本的な方針を社内で議論し、整理しておきましょう。

自社の強みと弱みを客観的に分析し、ベトナム市場でどのような競争優位性を発揮できるかを検討しておくことも重要です。これにより、コンサルタントとの打ち合わせがより具体的かつ効率的になります。

また、必要な予算と人員も事前に計画しておく必要があります。進出には予想以上のコストがかかることも多いため、ある程度の余裕を持った予算計画を立てておきましょう。さらに、プロジェクトを担当する社内チームを決め、責任者と権限を明確にしておくことで、迅速な意思決定が可能になります。

コミュニケーションを円滑にするコツ

コンサルタントとのコミュニケーションを円滑に進めるためのコツについて解説します。効果的なコミュニケーションは、プロジェクトの成功に直結するため、意識的に取り組むことが重要です。

まず、定期的なミーティングやレポーティングの仕組みを構築することをおすすめします。週次や月次の定例会議を設定し、進捗状況や課題の共有を習慣化することで、問題の早期発見と対応が可能になります。

また、質問や懸念事項は遠慮なく伝えることが大切です。コンサルタントとの関係においては、疑問点や不安な点は積極的に質問し、明確な回答を得ることが重要です。

さらに、情報共有の方法を工夫することも効果的です。例えば、共有クラウドツールを活用して、リアルタイムで情報を共有したり、翻訳ツールを活用して言語の壁を低くしたりすることで、より円滑なコミュニケーションが実現します。

進出後のフォローアップと継続的支援の確保

ベトナム進出は、法人設立で終わりではありません。むしろ、設立後の運営においてこそ、多くの課題が発生します。進出後のフォローアップと継続的な支援の確保について解説します。

まず、進出後の支援内容と費用について、事前に明確に合意しておくことが重要です。会計税務サポート、労務管理、行政対応など、どのような支援をどのような条件で受けられるのかを確認しておきましょう。

法令改正や規制変更に関する最新情報を定期的に提供してもらえる体制を構築することも大切です。ベトナムでは法規制が頻繁に変更されるため、常に最新情報を把握しておく必要があります。

また、緊急時のサポート体制も確認しておくべきポイントです。トラブルや予期せぬ状況が発生した際に、どのように対応してもらえるのか、連絡体制や対応可能時間などを事前に把握しておくことで、安心して事業を展開できます。

さらに、支援内容の定期的な見直しも重要です。事業の成長や状況の変化に応じて、必要なサポートも変わってきます。定期的に支援内容を見直し、その時々のニーズに合わせた最適なサポートを受けられるよう、コンサルタントとの関係を柔軟に調整していくことをおすすめします。

まとめ

ベトナム進出においてコンサルティングを効果的に活用することは、進出の成功率を高め、リスクを軽減するための重要な戦略です。本記事では、コンサルティング企業の役割や選び方、活用のポイントについて詳しく解説してきました。

  • コンサルティング企業は調査、計画、設立、事業展開の各フェーズで専門的支援を提供
  • 選定の際は実績、コミュニケーション能力、現地ネットワーク、費用体系を総合的に評価する
  • 活用のメリットとして時間・コスト削減、リスク軽減、文化的ギャップの橋渡しなどがある
  • 実践においては事前準備と明確なコミュニケーション、継続的な関係構築が重要

ベトナム進出を検討されている企業の皆様は、信頼できるコンサルティングパートナーを見つけ、その専門知識を最大限に活用することをおすすめします。株式会社ビッグビートは、海外展示会出展のサポートをしています。特に、タイやベトナムに現地法人を有しており、出展企画の立案から展示ブースの設営、コンパニオンをはじめとする運営スタッフの手配や管理に至るまで、日本の高い品質基準を維持したまま、現地からの迅速なサポートを提供することが可能です。ベトナム進出の一環として展示会出展をお考えの際は、ぜひご相談ください。