Asean Exhibitions
Asean Sustainable Energy Week 2025
展示会まであと
Day(s)
:
Hour(s)
:
Minute(s)
:
Second(s)
Exhibition outline
概要
アジア最大級のエネルギー展示会がタイで開催
高まる再エネ・電力売買への関心背景に
カーボンニュートラル(炭素中立)の実現や電力の売買自由化に向けた動きが加速するタイで、これらに焦点を当てたアジア最大級のエネルギーに関する総合展示会「Asean Sustainable Energy Week 2025」が2025年7月3~5日の日程にてバンコクのシリキット王妃コンベンションセンターで開催される。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー需要の高まりを受けて毎年規模を拡大して行われており、今回は3万人を超える入場者が見込まれる。出展者・団体数も400を超える可能性があり、いずれも過去最多となる。タイ政府も50年までのカーボンニュートラルの達成を目指しており、全面的に後押しする考えだ。
Asean Sustainable Energy Week 2025
2025年7月2日~4日
QSNCC、バンコク、タイ
エネルギー産業
Show Hilight
展示会のハイライト
■主催者と過去の実績
展示会を主催するのは、英国に本社を置くイベント企業「インフォーマ・グループ」のタイ拠点。展示面積2万5000平方メートルの会場に、世界70カ国超からの参加者を見込む。前回24年大会は同時期に63カ国から393社・団体が出展。入場者数は総計2万8435人を数え、出展ブースは1482に達した。3日間の期間中に開催されたカンファレンスやセミナーでは計387人が登壇し、7268人の参加者が耳を傾けた。
このところタイでは、再生可能エネルギー発電による電力売買が整備され始めるなど官民ともにエネルギー需給に関する意識が高まっており、来場者数ほかいずれも過去最多を更新する可能性がある。同じ会場では同日程で、EV業界団体の「タイ電気自動車協会」が協賛する国際展示会「Electric Vehicle Asia 2025」も併催されることになっており、相乗効果が期待される。
■25年大会の特徴
展示内容及びエリアは大きく分けて3つ。一つ目は、再生可能エネルギー(再エネ)をテーマとした「Renewable Energy Asia」。ここでは、風力、太陽光、熱、廃棄物、水力、バイオマスといったクリーンエネルギーの最新技術やトレンドの紹介。導入のために必要となるシステムやソリューションの提案などが実施される予定だ。専門家らによる実演も行われる。
二つ目がエネルギー効率にフォーカスした「Energy Efficiency Asia」。ここでは費用対効果が展示の中心となる。いくら地球に優しく最新技術であったとしても、効率やコスト面で折り合いがつかなければ導入には至らない。競争原理が正しく働き、工場やオフィス、商業施設、空港、病院、発電所などあらゆる施設で最適なエネルギー効率が図られることを目指す。
そして、三つ目が蓄電と電池に関するエリア「Energy Storage Asia」。再エネを導入する際に欠かせないのが発電した電力を効率良く蓄え、安定的に供給していく仕組み作りだ。そのためのプラットフォームやエネルギー管理システムが重要となる。蓄えた電力のロスを減らすためのバッテリーテクノロジーもその一つ。クリーンエネルギー化実現のための最終関門となる。
■主催者側の目標
開催にあたり、主催するインフォーマ社側も独自に持続可能な社会の実現に向けた目標を定めている。それによると、25年までにイベントなどグループ全体の事業でカーボンニュートラルと廃棄物半減を実現。30年までには温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」を掲げる。
また、いずれも25年までの課題として、事業の持続可能性を達成することやインターネット非接続者100万人のアクセス実現、展示会の開催都市に年間50億ドルの利益をもたらすことなども挙げる。これらを通じて、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への参加も図るとしている。
Visitor details
来場者の詳細
-
Renewable Energy Asia(再エネ)で関心を集めた製品
- 太陽エネルギー 35%
- スマートグリッド 24%
- デジタルソリューションと情報技術 18%
- メーカーと発電事業者 14%
- 廃棄物発電 10.0%
- バイオマス発電 4%
-
Energy Storage Asia(蓄電と電池)で関心を集めた製品
- エネルギー貯蔵技術 34%
- 貯蔵システムとソフトウエア 22%
- バッテリー生産技術 21%
- コンポーネントとアクセサリー 12%
- システムメンテナンス 7%
- コンサルタント 4%
-
Renewable Energy AsiaEnergy Efficiency Asia(エネルギー効率)で関心を集めた製品
- 建築物のエネルギー効率 28%
- 産業エネルギー効率 24%
- エネルギー管理システム 20%
- エネルギー貯蔵システム 13%
- エネルギーサービス企業 9%
- スマートシティー 8%
-
来場者の職位
- CEO・COO・MD・GM 33%
- 中間管理職 29%
- エンジニア 19%
- コンサルタント 12%
- 政策立案者 5%
- 研究者 2%
Exhibitor details
出展社の詳細
【出展者の紹介】
■出店者の国別・州別内訳
24年12月時点で出展を明らかにしているのは、アジア、欧州、北米から390社・団体。最多は中国企業で205、続いてタイ企業(日系タイ企業なども含む)が125、日本企業が18。以下、韓国11、ドイツ8、シンガポールと台湾が各6、オーストリアとインドが各2、米国とカナダが各1などとなっている。州別ではアジアが375、欧州が13、北米が2の各社・団体。
◇サステナブルエネルギーのテクノロジー・部品・機器
◇製造・電力生産
◇メンテナンス・サービス
◇デジタルソリューション・情報技術
◇革新的エネルギーソリューション
◇電力システム
◇スマートビルディングテクノロジー
◇監視・制御
◇エネルギー貯蔵技術
◇エネルギー貯蔵システム
◇バッテリーシステム部品・付属品
◇バッテリー生産技術
㎡の展示スペース
以上の出展社
来場者
カ国からの出展
海外からの来場者
人のカンファレンス・セミナー参加
Show background
展示会の背景
■タイ政府、2030年に再エネ51%目標
アジア最大級のエネルギーの総合展示会「Asean Sustainable Energy Week 2025」がタイで開催されるのには理由がある。21年10~11月にかけて英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約の第26回締約国会議(COP26)。タイ政府はここで50年までの炭素中立の実現に加え、65年までにネットゼロを目指すと宣言。現在は24~37年を対象とした新たな電力開発計画である「PDP2024」の策定を進めている。
それによると、総発電量に対する再エネの割合を現状の21%から30年までに51%へと引き上げ、中心に太陽光発電と風力発電を位置付ける。これを受けて国のエネルギー規制委員会は24年12月に第2期再エネ電力固定買取契約を発表。民間企業など64社が発電した太陽光電力約158万キロワットと、同8社による風力約57万キロワットの計約215万キロワットの電力を新たに買い上げることにした。総枠量は360万キロワット。第3期以降も継続する。
ただ、買い上げには課題も残る。その最大のものが電気料金だ。再エネは天候に左右されやすく昼夜の発電量にも差が出るため、制御するための新たな設備が必要となる。ところが、それを加味すると場合によってはコスト高となり、電気料金も高止まりのままだ。このため政府は再エネ発電事業者と消費者側が直接売買契約を結ぶ「直接電力購入契約」を試験導入しているが、新たにタイ発電公団などの送電線を利用するための委託送電利用料が発生。これをどう抑えていくかを検討している。
一方、直接電力購入契約をめぐっては産業界から、遠隔地で発電された再エネ由来の電力の供給を発電事業者から直接受けることができるよう求める動きが広がっている。タイでは大規模データセンターの開設などによる新たな電力需要が増しており、海外のIT企業などが盛んに投資を進めている。これらの事業者はグリーンエネルギーを求める傾向が強いことから、政府もこうした新規需要に合わせた制度設計も急ぐ方針だ。
■外資購入や自家発電の規制も緩和
外国企業などの電力消費者が電力会社から直接再エネを購入できる仕組みも始まった。エネルギー規制委員会は外資がタイ市場に参入しやすいよう、再生可能エネルギー証書と一体となった電力の販売を開始。24年12月から申請を受けている。当面は水力発電由来の電力を充てるが、将来は太陽光や風力にシフトさせるとしている。
自家発電に対する支援も始まっている。工業省は工場や一般住宅が屋根の上にソーラーパネルを設置する際の規制緩和を実施。従来は設置許可申請が必要だった屋根置き型の太陽光発電設備について、省令を改正して許可の対象から外した。また、財務省も一般住宅が20万バーツ(約84万円)以下で10キロワット以下の屋根置き型設備を設置した場合の所得税控除を行う方針だ。これにより、太陽光発電を利用する世帯が1年間に9万世帯のペースで増えると試算する。
また、政府は有力な電力供給源の一つとして原子力発電の再検討も開始した。2011年の東日本大震災に伴う原発事故からタイでは長らく原子力発電開発を凍結してきたが、方針を一部転換した。ただし、万が一に備え安全性が高く建設費が安いことで知られる「小型モジュール原子炉」を採用する方針だ。出力は約30万キロワット。発電量は総量の1%と見積もる。原子力発電の導入によって電気料金を1ユニット当たり半分にできるとの試算もある。
■展示内容はEVから再エネにシフト
Asean Sustainable Energy Weekをめぐっては、前々回23年大会までは充電器や充電システムといったEV関連機器の出展が多くを占めていた。ところが、前回24回からは再エネ全般にシフト。内容もさまざまな大きさや形状のソーラーパネルや蓄電システムなどが中心に展示されている。15年9月に設立し展示会を牽引してきたEV業界団体「タイ電気自動車協会」もこうした変化を認識しており、今後は再エネにも通じる蓄電技術などに寄った出展を検討している模様だ。
一方、来場者の意識にも変化が出始めている。国際的な原油調整の動きやウクライナ紛争の長期化からタイでも電気料金の引き上げが最大の関心事。企業も家計も価格には敏感になっており、ランニングコストの安い再エネが注目されている。一時試験導入された一般家庭からの発電余剰電力を買い取る市民向けソーラープロジェクトは好評を博した。再開を求める声も高まっている。