Home 9 ブログ 9 ベトナムで看板を出すには?設置の費用相場とデザイン規制の注意点を解説
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ベトナムにおける看板の法規制

ベトナムで看板を設置する際には、2012年に施行された広告法を中心とした法規制の理解が不可欠です。日本の屋外広告物条例とは異なり、事前の届出や承認が必須となっており、違反すると行政罰の対象になります。

事前届出の義務

ベトナムでは広告法に基づき、看板を設置する場合には必ず事前の届出が義務付けられています。この届出は設置場所を管轄する自治体の文化・スポーツ局に対して行う必要があります。

届出は看板の掲示予定日から最低15日前までに提出しなければなりません。提出書類には、デザイン案、設置予定場所の住所、掲示期間、企業情報などが含まれます。事前届出を怠ると無許可設置とみなされ、行政罰の対象となるため注意が必要です

実際にホーチミン市で実施された調査では、約49%の看板が無許可で設置されていたという報告があります。特に幹線道路沿いやロータリー周辺で違反が多発しており、行政当局による取り締まりが強化されています。

許可区分

ベトナムの看板設置許可は、サイズによって区分が異なります。基本的には20平方メートル以下の看板であれば、通常の届出手続きで設置が可能です。

一方、20平方メートルを超える大型看板や金属フレームを使用するビルボードなどの場合は、通常の届出に加えて「広告建設許可」という別の許可が必要になります。この建設許可は建設法の管轄下にあり、構造安全性の審査も含まれます。

さらに、LED電子広告や動画表示装置を使用する場合には、文化・スポーツ局だけでなく通信局の許可も必要になることがあります。複数の管轄機関が関与するため、手続きが煩雑になりやすい点に留意が必要です。

行政罰の概要

ベトナムにおける看板設置の規制違反には、厳しい行政罰が科されます。違反の種類や程度により罰則の内容は異なりますが、無許可設置や規制違反に対する罰金額は決して軽いものではありません。

行政罰としては、1,000万ドンから7,000万ドン、日本円で約5万円から35万円程度の罰金が科されます。競争法違反に該当する虚偽広告や誇大広告の場合は、さらに高額な8,000万ドンから1億4,000万ドンの罰金が課せられます。

悪質なケースでは刑事罰の対象となり、最大1億ドンの罰金に加えて最長3年の非拘束矯正刑が科される可能性もあります。また、付帯処分として違反看板の即時撤去、謝罪文の掲示、訂正広告の実施などが命じられることもあるため、十分に注意しましょう。

過去10年間でベトナム全土で2,100件以上の摘発があり、総罰金額は220億ドン、日本円で約1億2,200万円に達しています。実際の事例として、健康食品「Smarto」の虚偽効能広告に対して5,000万ドンの罰金が科されたケースがあります。

ベトナムにおける看板の届出手順

ベトナムで適法に看板を設置するには、複数の段階を経た手続きが必要です。事前調査から施工完了までの各ステップを理解し、計画的に進めることで、トラブルを回避できます。

事前調査

看板設置の第一歩は、設置場所の管轄自治体における規制内容の確認です。ベトナムでは区や郡レベルで管轄が分かれており、設置場所によって担当窓口が異なります。

まずは設置予定地を管轄する文化・スポーツ局に相談し、その場所で看板設置が可能かどうかを確認します。都市計画上の制約や道路管理上の規制により、設置が認められない場所も存在するためです。

事前調査を怠って製作を進めてしまうと、後から設置不可と判明して費用が無駄になるリスクがあります。設置可能と確認できた場合には、必要な書類の種類や審査期間についても同時に確認しておくことが重要です。

デザイン案の作成基準

事前調査で設置可能と確認できたら、次はデザイン案の作成に進みます。デザイン案は届出書類の一部として提出する必要があるため、規制に適合した内容で準備しなければなりません。

デザイン案作成では、ベトナム語表記を主とし、外国語のサイズ比率を遵守することが必須です。特に、ベトナム語の表記ミスは行政処分の対象になるため、必ずベトナム語ネイティブによる校閲を受けることを推奨します。併せて、禁止されている広告内容に該当しないか、誇張表現が含まれていないかを慎重にチェックします。

届出書の提出手順

デザイン案が完成したら、看板掲示予定日の15日前までに届出書を提出します。届出書には以下の情報を記載する必要があります。

提出書類 記載内容 備考
届出申請書 企業名、代表者名、連絡先 公式フォーマットを使用
デザイン案 看板の寸法、配色、文言 縮尺を明記
設置場所資料 住所、地図、写真 周辺環境を含む
掲出期間 開始日、終了日 期間延長は再申請

提出後、行政機関による審査が約5営業日から10営業日かかります。審査の過程で修正指示が入ることがあり、その場合は修正後に再提出が必要です。

承認が下りると正式な許可証が発行されますので、この許可証は施工時および完了報告時に必要となります。許可証のコピーは現場に保管しておくことが推奨されます。

施工手続き

許可証を取得したら、いよいよ実際の施工に入ります。施工は許可された内容に忠実に行う必要があり、設置位置やサイズの変更は認められません。

施工完了後には、行政機関に対して完了報告書を提出します。完了報告書には施工後の写真や設置日などの記録を添付します。完了報告を怠ると許可が無効になる場合があるため、必ず期限内に提出してください

また、看板の掲示期間が終了した際には撤去報告も必要になります。長期間にわたって看板を設置する場合には、定期的な更新手続きを忘れずに行いましょう。

ベトナムにおける看板のデザイン規則

ベトナムでは看板のデザインに関して、言語表記から色彩、サイズ、設置位置まで詳細な規制が存在します。これらのルールを正しく理解しないと、承認が得られず再製作が必要になることがあります。

ベトナム語表記の必須要件

ベトナムの広告法では、ベトナム語を主言語として使用することが義務付けられています。外国語の併記は認められていますが、あくまで補助的な位置づけです。

具体的には、ベトナム語のフォントサイズに対して外国語は4分の3以下にする必要があります。たとえば、ベトナム語が40ポイントであれば、英語や日本語は30ポイント以下でなければなりません。

ベトナム語の表記では声調記号を正確に使用することが求められ、省略は違反とみなされます。声調記号の誤りや欠落も行政処分の対象となるため、必ずネイティブによる最終確認を受けることが重要です。

配色規制

看板のデザインでは、使用できる色にも制限があります。ベトナムでは交通安全の観点から、信号色である赤・黄・緑の組み合わせは推奨されません。

特に道路沿いに設置する看板では、ドライバーの視認性を妨げたり誤解を招いたりする色使いは禁止されています。明るすぎる蛍光色やネオン色も、夜間の視認性を考慮して制限される場合があります。

色彩設計においては、ベトナムの文化的な配色の好みも考慮することが望ましいです。赤と金色は縁起が良いとされますが、白と黒の組み合わせは葬儀を連想させるため避けるべきとされています。

表示サイズ規制

看板のサイズには明確な制限が設けられており、建物の正面幅を超えるサイズの看板は原則として認められません。また、高さや突出距離にも上限があります。

歩道や車道への張り出しは厳しく制限されており、通行の妨げになる設置は禁止されています。避難口や非常口の視認を妨げる位置への設置も認められません。

以下の表は、一般的な設置基準の例です。

設置箇所 サイズ制限 注意点
店舗正面 建物幅以内 突出は30cm以下
壁面設置 20㎡以下 届出のみで可
大型看板 20㎡超 建設許可が必要
歩道張り出し 禁止 通行障害のため

設置する看板のサイズは、事前調査の段階で管轄の文化・スポーツ局に確認することが重要です。

国旗の使用ルール

ベトナム国旗や外国の国旗を看板デザインに使用する場合には、特別な配慮が必要です。ベトナム国旗の使用は原則として許可制となっており、不敬にあたる表現は厳しく禁止されています。

国旗を使用する際には、国旗法に基づいた正確な色合いと縦横比率を守る必要があります。また、国旗を商業目的で使用する場合には、事前に政府機関の承認を得なければなりません。国旗の配置や扱いを誤ると、国家への侮辱とみなされ重い処罰を受ける可能性があるので、十分に注意しましょう

ベトナムにおける看板の費用分析

看板設置の総費用は、製作方法や素材、サイズ、設置場所によって大きく変動します。適切な予算計画を立てるためには、現地製作と日本製作の違い、素材選定、業者選びのポイントを理解することが重要です。

現地製作の相場

ベトナム国内で看板を製作する場合、日本と比べて製作費用は比較的安価です。小型看板であれば、18センチメートル×25センチメートル程度のサイズで150,000ドンから300,000ドン、日本円で約750円から1,500円程度が相場となっています。

店舗看板として一般的な中型サイズでは、素材や印刷品質にもよりますが数千円から1万円程度で製作可能です。大型のビルボードや屋外広告の場合は、立地条件により月額使用料として数十万円から数百万円が必要になります。

現地製作の最大のメリットは輸送費や通関手続きが不要な点であり、トータルコストを抑えられます。ただし、施工費用は別途見積もりとなり、高所作業や鉄骨を使用する場合には追加費用が発生します。

日本製作費の目安

日本国内で看板を製作してベトナムに輸送する選択肢もあります。日本のホームセンターで板材を購入する場合、91センチメートル×182センチメートルのサイズで約3,000円程度です。

デザイン印刷をシールで貼り付ける方法を使えば、印刷費用が約4,000円で、合計約8,000円以内で自作することが可能です。実際の事例では、内装業者の助言により当初の見積もり出あった2万円〜3万円の費用を大幅に削減できたケースがあります。

ただし、日本製の場合には輸送費用と通関手続きが別途必要になります。航空便での輸送費や関税を考慮すると、現地製作の方が総コストは安くなることが多いです。

素材選定の基準

ベトナムは高温多湿の気候であり、看板の素材選定には耐候性が重要な要素となります。屋外に設置する看板には、耐候性塗装やUV加工が施された素材が推奨されます。

金属製の看板を使用する場合には、防錆処理が施されたアルミニウムやステンレスが適しています。安価な素材を選ぶと短期間で劣化し、再製作が必要になるため、長期的には高品質素材の方がコストパフォーマンスが高くなります。

以下の表は、素材別の特徴と推奨用途をまとめたものです。

素材 耐久性 コスト 推奨用途
アルミ複合板 屋外長期設置
アクリル板 店舗内装
塩ビシート 短期イベント
ステンレス 高級店舗

素材選定では、設置期間と予算のバランスを考慮することが重要です。

業者選定基準

ベトナム国内には多数の看板製作業者が存在しますが、品質や価格には大きなばらつきがあります。同一サイズの看板でも、業者によって150,000ドンから300,000ドンと2倍の価格差が生じることがあります。

安価な業者を選ぶと、納期遅延や印刷品質の不備が発生するリスクがあるため、業者選定では価格だけでなく、過去の実績やレビューを確認し、発注内容を写真や文書で明確に記録することが重要です。複数の業者から見積もりを取り、品質と納期のバランスを総合的に判断しましょう。

信頼できる業者を見つけるためには、現地の日本商工会議所や同業他社からの紹介を活用することも有効です。また、製作前にサンプルの確認や試作を依頼することで、完成品の品質を事前に把握できます。

ベトナムのビジネスには展示会出展が効果的

ベトナムでは、展示会への出展が企業のマーケティング戦略において極めて重要です。現地で開催される展示会は、自社の商品・サービスを認知してもらう最適な機会であり、特にB2B企業にとって欠かせない施策の一つとされています。開催数も年々増加しており、幅広い業種で行われる展示会は、効果的な販促チャネルとして注目されています。

展示会はテストマーケティングの場としても活用でき、現地顧客の反応を直接確かめることができます。さらに、単なる商品PRにとどまらず業界関係者とのネットワークづくりにも活用できるため、新規参入企業が現地での認知度を高め人脈を広げる上でも有効です。

このような対面での商談や交流を通じて有望な新規顧客の獲得やパートナー企業の発掘にもつながるため、展示会出展はベトナムにおけるB2Bビジネスで欠かせない施策となっています。

まとめ

ベトナムで看板を設置するには、日本とは異なる法規制や届出手続きを正しく理解することが不可欠です。事前届出の義務、言語表記規制、デザイン上の制約など、遵守すべきルールは多岐にわたります。

  • 看板設置には掲出日の15日前までに文化・スポーツ局への届出が必須
  • 無許可設置や規制違反には最大7,000万ドンの行政罰が科される
  • ベトナム語を主言語とし、外国語はベトナム語の4分の3以下のサイズに制限
  • 現地製作の費用相場は小型看板で150,000ドンから300,000ドン程度
  • 高温多湿の気候に対応した耐候性素材の選定が重要
  • 業者選定では価格だけでなく品質と実績を総合的に判断

ベトナムでの看板設置を成功させるには、法的要件を満たした上で、文化的な配慮と品質管理を両立させることが求められます。適切な手続きと専門家のサポートを活用することで、効果的なブランディングと市場での信頼構築が実現できます。

株式会社ビッグビートは、海外展示会出展のサポートをしています。特に、タイやベトナムに現地法人を有しており、出展企画の立案から展示ブースの設営、コンパニオンをはじめとする運営スタッフの手配や管理に至るまで、日本の高い品質基準を維持したまま、現地からの迅速なサポートを提供することが可能です。

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