Home 9 ブログ 9 ベトナム向けホームページ制作の流れを解説|企画から公開までの手順と特徴を紹介
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ベトナム向けホームページ制作の全体像

ベトナム市場で効果的なホームページを制作するには、プロジェクト全体の流れを把握しておくことが欠かせません。目的設定から市場調査、機能設計、優先順位の決定、予算計画まで、各ステップを明確にすることで、制作の方向性がぶれずスムーズに進行します。

プロジェクト目的の明確化

ホームページ制作の第一歩は、プロジェクトの目的を明確にすることです。ベトナム市場での認知度向上、製品・サービスの紹介、問い合わせ獲得、EC販売など、具体的なゴールを設定します。

目的によって必要な機能やコンテンツが大きく変わるため、関係者間で認識を統一することが重要です。例えば、認知度向上が目的なら会社紹介や事例コンテンツが中心になり、EC販売が目的なら決済機能や在庫管理システムが必要になります。

目標設定では、具体的な数値目標も併せて設定しましょう。月間問い合わせ件数、訪問者数、コンバージョン率などの指標を決めることで、公開後の効果測定が可能になります。

ターゲット市場の調査

設定した目的を達成するためには、まずベトナム市場の実態を正確に把握することが欠かせません。市場全体の動向や、ターゲットとなる顧客層の年齢、性別、所得水準、居住エリア、購買行動などを分析します。

特にベトナムでは地域ごとの経済格差が顕著で、ホーチミン市やハノイといった都市部と地方では、消費者の購買力やデジタルリテラシーに大きな違いがあります。北部のバクニン省・バクザン省は製造業が盛んで、BtoB向けの需要が高い一方、南部のビンズオン省では外資系企業が多く進出しており、グローバル志向の消費傾向が見られます。

こうした市場構造を踏まえたうえで、競合他社のウェブサイトも詳しく調査しましょう。デザイン、コンテンツ構成、提供している機能、SNS活用状況などを分析することで、差別化ポイントが見えてきます。

必要な機能の洗い出し

プロジェクト目的とターゲット分析を基に、ホームページに必要な機能を洗い出します。ベトナム市場では、FacebookやZaloとの連携機能、モバイル決済対応、チャット機能などが重要度が高くなります。

Facebook利用率89.6%、Zalo利用率86.6%というベトナムのSNS普及状況を考えると、これらのプラットフォームとの統合は必須です。問い合わせフォームだけでなく、FacebookメッセンジャーやZaloチャットからの問い合わせ導線を設けることで、ユーザーの利便性が高まります。

EC機能が必要な場合は、MoMoやZaloPayなどローカル決済手段への対応も検討します。ベトナムではMoMoが70%以上のシェアを持つため、この決済方法を導入することで購入率の向上が期待できます。

優先順位の決定

洗い出した機能すべてを初期段階で実装すると、開発期間が長期化しコストも増大します。そのため、機能に優先順位をつけることが重要です。

ビジネス目標達成に直結する機能をフェーズ1として最優先で実装し、付加価値を高める機能は段階的に追加していく方針が効果的です。例えば、まずはベトナム語の会社紹介と製品情報、問い合わせフォームを実装し、その後にブログ機能やSNS連携、多言語対応を追加していく流れです。

優先順位づけの基準として、ユーザーニーズの高さ、実装の難易度、開発コスト、運用の手間などを総合的に評価します。

予算の目安

ベトナムでのホームページ制作費用は、サイトの規模や機能によって大きく異なります。小規模な企業紹介サイトで50万円から、中規模の多機能サイトで80万円から150万円、大規模ECサイトでは200万円以上が相場です。

制作費用に加えて、ドメイン取得費用、ホスティング費用、翻訳費用、保守運用費用も考慮する必要があります。特にベトナム語翻訳は専門性が求められるため、品質を確保するには相応の予算確保が必要です。

予算設定では、初期制作費用だけでなく、運用開始後の保守・更新費用も含めた総コストで考えることが重要です。一般的に、年間の運用費用は初期制作費用の20-30%程度を見込んでおくと安心です。

ベトナム向けホームページ制作の企画段階で押さえるポイント

企画段階では、ベトナム市場特有の要素を考慮した戦略立案が成功の鍵となります。現地のユーザー行動やデジタル環境を深く理解することが重要です。

ベトナム市場のユーザー行動特性

ベトナムのインターネットユーザーは、モバイルデバイスからのアクセスが圧倒的に多く、スマートフォンでの閲覧を前提としたサイト設計が必須です。デスクトップ向けのデザインを縮小表示するだけでは、ユーザー体験が低下します。

また、ベトナム人ユーザーは、信頼感を重視する傾向があります。企業の実績、顧客の声、資格や認証情報などをサイト内に明示することで、信頼性が向上します。特に新規参入企業の場合、既存顧客の事例紹介は効果的です。

さらに、ビジュアルコンテンツへの関心も高く、テキスト中心のサイトよりも画像や動画を活用したサイトの方が滞在時間が長くなる傾向があります。製品紹介やサービス説明では、動画コンテンツの活用を積極的に検討しましょう。

モバイルファースト設計の基本

モバイルファースト設計では、スマートフォンでの表示を最優先に考え、その後タブレットやデスクトップでの表示を最適化します。画面サイズが小さいモバイル環境では、情報の優先順位づけと簡潔な表現が重要です。

タップしやすいボタンサイズ、読みやすいフォントサイズ、スクロール負担の軽減など、モバイルでの操作性を考慮したUI設計が必要です。一般的に、タップ可能な要素は44×44ピクセル以上のサイズを確保することが推奨されます。

ページの読み込み速度も重要な要素です。モバイル回線の速度が都市部と地方で異なるため、画像の最適化、不要なスクリプトの削減など、表示速度を改善する施策を実施します。

多言語対応の進め方

ベトナム向けサイトでは、ベトナム語が基本言語となりますが、外国人駐在員や国際取引を想定する場合は英語対応も検討します。多言語サイトの制作では、まず1つの言語で完成させてから次の言語に進むことが効率的です。

翻訳では、単なる言葉の置き換えではなく、文化的背景を考慮したローカライズが必要です。製品名、キャッチコピー、サービス説明など、ベトナム人に響く表現に調整します。機械翻訳を使用する場合でも、必ずネイティブスピーカーによるチェックを入れましょう。

言語切り替え機能は、ユーザーが簡単に見つけられる位置に配置し、選択した言語設定が全ページで維持される仕組みを実装します。

法規制の確認

ベトナムでウェブサイトを運営する際は、現地の法規制への対応も重要です。個人情報保護法、電子商取引に関する規制、広告表示規制などを確認し、サイトの内容や機能が法令に適合しているか検証します。

特にECサイトの場合、消費者保護法に基づく返品・返金ポリシーの明示、商品情報の正確な表示、配送条件の説明などが求められます。法規制は国によって異なるため、ベトナム特有のルールを把握しておきましょう。

プライバシーポリシーや利用規約の掲載も必須です。これらの法的文書は、ベトナムの法令に準拠した内容で作成し、ベトナム語での提供が求められます。

決済手段の選定

ECサイトを構築する場合、ベトナムで普及している決済手段への対応が売上に直結します。MoMoが70%以上のシェアを持つため最優先で対応し、次いでZaloPay、銀行振込、代金引換の導入を検討します。

クレジットカード決済も選択肢の一つですが、ベトナムではカード普及率が比較的低いため、ローカル決済手段の優先度が高くなります。複数の決済方法を提供することで、顧客の利便性が向上し、購入完了率が高まります。

決済システムの実装では、セキュリティ対策も重要です。SSL証明書の導入、PCI DSS準拠、不正取引検知システムなど、顧客の金融情報を保護する仕組みを整えます。

ベトナム向けホームページ制作の設計からデザイン戦略

設計とデザインの段階では、ベトナム市場特有の嗜好と使いやすさのバランスを考慮します。ユーザーにとって魅力的で使いやすいサイトを実現するための戦略を立てます。

ワイヤーフレーム作成の手順

ワイヤーフレームは、サイトの骨格となる設計図です。各ページのレイアウト、要素の配置、ナビゲーション構造を視覚化し、関係者間で認識を統一します。

トップページ、サービス紹介ページ、問い合わせページなど、主要なページから作成を始めます。モバイル版とデスクトップ版の両方を作成し、それぞれの画面サイズに最適化された配置を検討します。

ワイヤーフレーム段階でユーザー導線を十分に検証し、目的のアクションまでの経路が分かりやすく設計されているか確認します。複数のパターンを作成して比較検討することも有効です。

ベトナムで好まれるデザイン特性

ベトナムでは、シンプルで清潔なデザインが好まれる傾向があります。過度に装飾的なデザインよりも、情報が整理された見やすいレイアウトが評価されます。

色使いでは、赤や金色が縁起の良い色とされ、企業ロゴやアクセントカラーに使用されることが多くあります。ただし、文化的な意味合いを理解した上で適切に使用することが重要です。

フォント選びも重要な要素です。ベトナム語は声調記号を含むため、これらの記号が正しく表示されるフォントを選択します。読みやすさを優先し、本文には16ピクセル以上のフォントサイズを使用することが推奨されます。

UX検証の実施方法

デザイン案が完成したら、実際のユーザーにテストしてもらい、使いやすさを検証します。ベトナム人ユーザーを対象としたユーザビリティテストを実施し、改善点を洗い出します。

テストでは、特定のタスクを実行してもらい、その過程を観察します。例えば、商品を探して購入する、問い合わせフォームから連絡する、会社情報を確認するなどのタスクです。ユーザーがつまずいた箇所や迷った箇所を記録し、改善に活かします。

ヒートマップツールやアクセス解析ツールを活用すると、どのエリアがよく見られているか、どこでユーザーが離脱しているかなどのデータが得られます。

画像と動画の活用方針

ビジュアルコンテンツは、ベトナム市場で特に重要な役割を果たします。製品写真、サービス紹介動画、企業紹介ビデオなど、視覚的に訴求力のあるコンテンツを積極的に活用します。

画像は高品質なものを使用しつつ、ファイルサイズを最適化してページの読み込み速度を維持します。WebP形式の採用、適切な圧縮、レスポンシブ画像の実装などの技術を活用します。

動画コンテンツは、YouTubeやFacebookなどの外部プラットフォームに埋め込む形式を採用すると、サーバー負荷を軽減できるとともに、SNSでのシェアも促進されます。

ブランディング要素の反映

企業のブランドアイデンティティをサイト全体に一貫して反映させることで、ブランド認知度と信頼性が向上します。ロゴ、カラースキーム、フォント、トーン&マナーなど、ブランドガイドラインに沿ったデザインを実現します。

ベトナム市場向けにブランディング要素を調整する場合でも、企業の核となる価値観やメッセージは維持します。現地の文化や嗜好に配慮しながら、企業らしさを表現するバランスが重要です。

ベトナムホームページ制作の開発から導入手順

開発段階では、設計とデザインを実際のウェブサイトとして実装します。技術的な選択と品質管理が、サイトの性能と安定性を左右します。

開発体制の選び方

ベトナムでホームページを制作する際は、現地のウェブ制作会社に依頼する方法と、日系の制作会社に依頼する方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、プロジェクトの要件に応じて選択します。

現地制作会社は、ベトナム市場への理解が深く、費用も比較的抑えられる傾向があります。一方、日本語でのコミュニケーションが難しい場合もあります。日系制作会社は、日本語でのやり取りがスムーズで、日本のビジネス慣習に精通していますが、費用は高めになることが多いです。

制作会社を選定する際は、ベトナム市場での実績、提供サービスの範囲、保守運用体制、コミュニケーションのしやすさを総合的に評価することが重要です。

CMSと技術スタックの選定

コンテンツ管理システム(CMS)の選定は、サイトの運用効率に大きく影響します。WordPressは世界的に広く使われており、ベトナムでも多くの制作会社が対応しています。プラグインが豊富で拡張性が高く、多言語対応も比較的容易です。

ECサイトを構築する場合は、WooCommerceやShopifyなどのECプラットフォームも選択肢となります。これらのプラットフォームは、商品管理、在庫管理、決済処理などの機能が標準で提供されています。

技術スタックの選定では、将来的な拡張性、保守のしやすさ、開発者の確保のしやすさも考慮します。一般的な技術を採用することで、将来的なメンテナンスや改修が容易になります

多言語実装のポイント

多言語サイトの実装では、言語切り替え機能、言語ごとのURL構造、翻訳コンテンツの管理方法を適切に設計します。WordPressの場合、WPMLやPolylangなどの多言語プラグインが利用できます。

URL構造は、サブディレクトリ方式、サブドメイン方式、別ドメイン方式などの選択肢があります。SEOの観点からは、サブディレクトリ方式が推奨されることが多く、example.com/vi/のような形式でベトナム語ページを配置します。

各言語版のコンテンツは独立して管理できるようにし、一方の言語を更新した際に他の言語版にも反映すべき内容を明確にする運用ルールを定めます。

テスト項目とQA手順

開発完了後は、本番公開前に十分なテストを実施します。機能テスト、表示テスト、パフォーマンステスト、セキュリティテストなど、多角的な検証が必要です。

機能テストでは、フォーム送信、決済処理、会員登録など、すべての機能が正しく動作するか確認します。表示テストでは、複数のデバイスとブラウザで表示を確認し、レイアウト崩れがないかチェックします。その際、ベトナム人スタッフによる実機テストを実施することで、現地ユーザーの利用感覚に即した改善点を洗い出しましょう

公開作業と移行手順

テストが完了したら、本番環境への移行作業を行います。ドメイン設定、DNSの切り替え、データベースの移行、ファイルのアップロードなど、手順を明確にして慎重に作業を進めます。

公開直後は、すべてのページが正常に表示されるか、リンク切れがないか、フォームが正しく動作するかなどを再度確認します。Google Search ConsoleやBing Webmaster Toolsにサイトを登録し、検索エンジンへのインデックス登録を促進します。

公開後も継続的な監視が必要です。アクセス解析ツールを導入し、訪問者の動向、人気ページ、離脱ページなどのデータを収集します。これらのデータを基に、サイトの改善を継続的に行います。

ベトナムのビジネスには展示会出展が効果的

ベトナムでは、展示会への出展が企業のマーケティング戦略において極めて重要です。現地で開催される展示会は、自社の商品・サービスを認知してもらう最適な機会であり、特にB2B企業にとって欠かせない施策の一つとされています。開催数も年々増加しており、幅広い業種で行われる展示会は、効果的な販促チャネルとして注目されています。

展示会はテストマーケティングの場としても活用でき、現地顧客の反応を直接確かめることができます。さらに、単なる商品PRにとどまらず業界関係者とのネットワークづくりにも活用できるため、新規参入企業が現地での認知度を高め人脈を広げる上でも有効です。

このような対面での商談や交流を通じて有望な新規顧客の獲得やパートナー企業の発掘にもつながるため、展示会出展はベトナムにおけるB2Bビジネスで欠かせない施策となっています。

まとめ

ベトナム向けホームページ制作では、企画段階での目的明確化とターゲット分析から始まり、設計・デザイン、開発、テスト、公開という段階を経ます。各段階でベトナム市場特有の要素を考慮することが成功の鍵です。

  • プロジェクト目的を明確にし、ターゲット市場を綿密に調査する
  • モバイルファースト設計とSNS連携を重視する
  • ベトナム人に好まれるシンプルで清潔なデザインを採用する
  • MoMoなどローカル決済手段に対応する
  • 多言語実装では文化的背景を考慮したローカライズを行う
  • 十分なテストを実施してから公開し、継続的に改善する

ベトナム市場で成果を上げるホームページを構築するには、現地の文化・習慣・ユーザー行動を深く理解し、それらに最適化された設計とコンテンツが必要です。本記事で紹介した手順とポイントを参考に、効果的なウェブサイトを制作してください。

株式会社ビッグビートは、海外展示会出展のサポートをしています。特に、タイやベトナムに現地法人を有しており、出展企画の立案から展示ブースの設営、コンパニオンをはじめとする運営スタッフの手配や管理に至るまで、日本の高い品質基準を維持したまま、現地からの迅速なサポートを提供することが可能です。

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