ASEAN Case Studies
HASEGAWA VIETNAM

ベトナムで初の展示会出展を決定!その理由と得られた成果とは?
ASEAN地域へビジネス進出をする日系企業が増えています。その足がかりとなる方法の一つが、現地で開催されている展示会への出展です。20年以上前からすでに中国でもビジネスを展開しているHASEGAWA VIETNAM Co.,Ltd.社は、2024年11月、ベトナムの「Cleanfact RHVAC」へ初めて出展し、ベトナムでのビジネスを順調に拡大しています。ASEANの中からなぜベトナムを選んだのか、「Cleanfact RHVAC」出展の決め手はなんだったのか、どのような成果が得られたのかなどについて、General Directorの平山敬二さんから話を伺いました。
「土地相場」と「これまでの海外でのビジネス経験が活かせること」を決め手にベトナムへ
Q:御社は、梯子や脚立の専業メーカーのパイオニアとして、日本国内ですでにトップ級のシェアを誇っていますよね。
平山さん:はい、梯子や脚立のほか、空港の機体整備や鉄道車両の整備などで使われる特殊高所作業台、製造業の生産ライン向け高所作業台などを製造しています。日本では、BtoBの法人向け販売が約半分を占めており、残りは、ホームセンターやECによる個人向けの販売です。
Q:海外でのビジネスはいつからスタートしたのですか。
平山さん:最初は2001年で、国は中国です。コストダウンを目的とした工場生産からスタートしました。その後、2010年には中国国内向けへの販売もはじめています。
Q:その後、中国以外の外国へビジネスを拡大するきっかけはありましたか。
平山さん:中国での製造や販売のモデルもある程度確立し、それを他の国でも活かせるのではないかと考えたことです。当時、中国の経済や政治状況が変化してきていたこともあり、中国に加え、新たにもう一カ国で拠点を設ける事業計画を立てることにしました。
Q:数ある国の中からベトナムを選ばれた決め手はありますか。
平山さん:主に「土地の安さ」と「中国で培ったノウハウを活かせること」です。ベトナム以外にも、タイやインドネシア、フィリピンなども候補にあがっていたのですが、比較したところ、最も土地価格が安かったのがベトナムでした。
また、海外進出にあたり、各国の政治体制や労働法などを調べたところ、ベトナムは中国と類似する点が多く、中国での事業経験が活かせると考えました。その後、2013年にベトナムのクアンナムに「HASEGAWA VIETNAM Co.,Ltd」を設立し、日本やアメリカ向けの脚立などを工場生産しています。

展示会出展の決め手は「ベトナムBtoB業界特定マーケットへの展開」と「現地サプライヤー開拓」
Q:ー中国での経験も活かしつつ、ベトナムでビジネスをはじめられたのですね。今回、ベトナムの展示会へ出展をする目的は何でしたか。
平山さん:第一に、「ベトナムでのBtoB業界特定マーケットへの展開」です。現在、ベトナムで製造している製品は、主に日本へ輸出をしています。中国で国内向けの販売をスタートしたように、ベトナムの国内市場へも販路を拡大できたらという思いがありました。
第二に、「現地サプライヤー開拓」です。製造している梯子や脚立の素材であるアルミは、ベトナム国内での調達が難しく、これまでは中国から取り寄せている状況でした。今後のビジネス拡大において、ベトナム国内のアルミのサプライヤーとの繋がりは必須でした。
Q:ベトナムでもたくさんの展示会がある中、「Cleanfact RHVAC」を選ばれた決め手はなんですか。
平山さん:この展示会が、精密機器の製造や(食品加工)医療分野などで用いられる「クリーンルーム」に特化した展示会だったことです。我々は、クリーンルームで用いられるような高度な精密さが求めらえる製品も製造しています。
他には、BtoC向けの高級インテリアとしての梯子なども製造していますが、まずはBtoBマーケットの一つであるクリーンルーム領域からアプローチをし、ベトナムにおける一つのビジネスモデルをつくった上で、そのモデルを我々の製品が用いられる他の領域、例えば空港の機体整備や医療関連などへ応用することで、マーケットを拡大していけるのではないかと考えました。

初のベトナムでの出展でも、手厚いサポートでKPIを達成
Q:今回の「Cleanfact RHVAC」への出展にあたり、不安や課題はありましたか。
平山さん:課題は多くありました。まず、出展は決めたものの、ベトナムでの展示会出展経験がありませんでした。また、素材の現地調達や現地企業とのネットワークづくりのためにどのような展示会に出展すればよいか、展示会においてどのようなKPIを設定すればよいかなどのノウハウを持っていない、といった課題もありました。
展示会を調べているうちに、「Cleanfact RHVAC」の日系企業向け事務局代理店窓口を担当しているビッグビートのことを知りました。問い合わせをしたところ、ブースの設営だけでなく、現場でコンパニオンなどを派遣してくださることもわかり、ご一緒することを決定しました。
Q:展示会当日までの準備はスムーズでしたか。
平山さん:初めての展示会出展としては、うまくいったと思っています。当日までの進行スケジュールなどの提案もあり、次のステップなども迷うことなく準備を進めることができました。また、当社側の展示会担当者はベトナム人だったのですが、ビッグビートさんのベトナムオフィスに、ベトナム語や英語などの外国語対応できる方がいて、言語面でのコミュニケーションもスムーズだったこともありがたかったです。
もう一点ありがたかったのは「ブース位置」です。展示会は大きいブースエリアを設ける企業ほど良い位置を選べる傾向が多いのですが、ビッグビートさんが経験を踏まえておすすめのブース位置をご提案いただいたこともあり、結果的にとてもいい場所を選ぶことができました。
Q:展示会当日の様子はいかがでしたか。当初の目標は達成できたでしょうか。
平山さん:まず、目標としていた200名の方との名刺(+アンケート獲得)が達成でき、非常に満足しています。「Cleanfact RHVAC」の総来場者が5,000-6,000人だったという点から見ても、十分な数だったと言えるのではないでしょうか。現場でコンパニオンの方が声掛けをとても積極的にしてくださったことも、目標を達成できた一因と感謝しています。
展示会の中には、主催者から出展社に対し、来場者情報が提供されるものもありますが、「Cleanfact RHVAC」は、主催者からの来場者情報の提供がありませんでした。そのため、ブースでは、来場者情報を直接集めるしかありませんでした。今回は、対面でのやりとりに重きを置いていたため、あえてデジタル(モバイル等を使って)の情報収集は行いませんでしたが、紙の名刺を持参していない来場者も一定数いたので、次回以降の情報収集の仕方は改めて検討していきたいと思います。

展示会での成果に手応え。すでに次の出展も決定
Q:今回の展示会を受けて、今後のベトナムでのビジネス展開についてお聞かせください。
平山さん:今回の展示会で手応えを感じたこともあり、2025年6月に開催の展示会「VIMF 2025」への出展することを決めました。「Cleanfact RHVAC」と同様に、「VIMF 2025」は、ビッグビートさんが日系企業向けの代理店窓口をしているので、その点でも安心です。
「VIMF 2025」はベトナムで有名な工業地帯として知られるビンズオンで開催される、製造業全般を対象にした展示会ですが、VIMFシリーズが工業地域にフォーカスしている点において、当社がターゲットしようとしている特定業界への有効的なアプローチが可能かと判断しました。我々の梯子や脚立の需要のある工場や関連企業と新しいビジネス展開のきっかけにしていきたいですね。