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Mobility Tech Asia Bangkok 2025

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概要

電気自動車(EV)関連の国際展示会がタイで開催
持続可能なモビリティー社会の構築が最大テーマに

タイ・バンコク中心部のシリキット王妃コンベンションセンターを会場に開催されてきた電気自動車(EVをめぐる総合展示会「ELECTRIC VEHICLE ASIAEVA)」。2024年は過去最大の来場者数を記録盛況に沸いたが、25年はさらにパワーアップ。タイ電気自動車協会との公式パートナーシップ協定により大会名を変更し、MobilityTech AsiaBangkokMTAB)として生まれ変わることになった。期間中最大のイベントはEVATとの共催最新のEV技術を紹介する「International Electric Vehicle Technology Conference and ExhibitioniEVTech」。タイを持続可能なEV技術革新の拠点地域と位置づけ、ビジネスチャンスの創出乗り出す

Mobility Tech Asia 2025

2025年7月2日~4日

QSNCC、バンコク、タイ

EV自動車産業

Show Hilight

展示会のハイライト

■主催者と過去の実績

大会主催者は、英国に本部を置く国際的なイベント企業「インフォーマ」のタイ拠点。2009年の初回大会から数えて今回が16回目となる。新たにタイ電気自動車協会(EVAT)が共催者として加わったことで、大会はさらなる高みを迎えることとなる。大会事務局では「世界的な投資を引き起こす企業誘致につなげていきたい」と意気込みを語る。

EVATは15年に設立された官民協力の業界団体。EV開発や部品生産をめぐる学術研究部門と民間の研究機関R&Dなどが参加して誕生した。EVの利用促進やそれに伴う環境改善運動などにも取り組んでいる。製造企業への支援や技術協力、国際協業にも積極的で、EV市場における起業家誕生の後押しも進めている。

過去最大となった前回24年大会は、63の国と地域から2万8435人が来場。出展した企業などの総ブランド数は279を記録し、開設された国際パビリオンも日本、ドイツ、スイス、韓国、中国、台湾、シンガポールの計7カ国・地域に上った。カンファレンス(会議)やセミナーなどの開催総数は7268。ここで387人のグローバルスピーカー(演説者)が登壇した。25年大会もこれらを上回る可能性が高い。

■25年大会の特徴

大会事務局では、今回大会のメインテーマとして「持続可能なモビリティー社会の実現」を掲げる。移動を意味するモビリティー。国境が無力化しグローバル化が進む国際環境下、人・モノ・カネの移動はますます常態化・加速化しようとしている。より安全でより安定した持続可能な移動が求められるようになった今、その核として位置づけられるものがEVという観点だ。

個別テーマは大きく4つが用意された。一つ目として「持続可能なモビリティー実現のための効果的なプラットフォームの提供」が挙がる。タイを中心とした巨大市場、人口6億人の東南アジアで、環境にやさしい未来志向の交通のあり方の模索と提言の場がMTABであると位置付ける。

二つ目には「地域のモビリティーを一変させる技術革新」を掲げる。画期的なテクノロジーが、タイをはじめとした東南アジア一円の移動手段や交通網を劇的に変化させると説く。会場ではその最前線の技術を紹介する。三つ目には「持続可能なモビリティー実現のためのハブ機能」を挙げる。モビリティー社会の実現を生産工程や川の流れに見立て、「上流と下流の効果的な結合の場としてのMTABを盛り上げる」とする。

そして、最後に挙げられているのが「市場の掘り起こし」だ。国境を超えた移動の誕生によって、これまで情報や商品にアクセスできなかった潜在的な購入者と企業や起業家との結びつきが生まれると説明する。生産者と消費者、そしてそれを仲介するバイヤーらが有機的に結合することで新たな市場が形成されると結ぶ。

■最大イベント「iEVTech」

今大会最大のイベントが、EVテクノロジーをテーマとした国際カンファレンス「iEVTech」だ。グローバル化が進むEV市場。持続可能性を持たせるための革新的な技術とサプライチェーンの構築が話題の中心となる。国際的な自動車メーカーからサプライヤー、イノベーターなどがそろう巨大市場のタイで、EVに関する各種情報や知見、技術革新を共有するためのプラットフォーム作りとその提供がイベントの柱となるとしている。

同時に、温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」の達成も目指す。主催者のインフォーマ社は、グループ企業全体でカーボンニュートラル(炭素中立)と廃棄物半減を25年までに、さらには30年までにネットゼロを実現すると社としての目標を掲げている。iEVTechそしてMTABにおける脱炭素化の達成がその試金石になると位置付ける。出展企業などに対しても、大会を通じた二酸化炭素や廃棄物の削減を求めていく考えだ。

これらの指針は、タイ政府が掲げる再生エネルギーの有効活用や50年までの炭素中立、65年までのネットゼロなどの各種政策とも符号する。タイは21年10~11月に英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約の第26回締約国会議(COP26)にも参加。ここで30年までの再エネ51%達成を国際公約として明らかにしている。同社では政府とも連携しながら社会的責任を果たすとする。

Visitor details

来場者の詳細

■ 来場者の業種

◇企業オーナー、コンサルタント
◇投資家
◇CTO、テクニカルリーダー
◇アカデミック
◇設計およびシステムエンジニア
◇現場監督
◇エンジニアリングコンサルティング
◇エンジニアリングマネージャー
◇政府
◇メンテナンスマネージャー
◇製造マネージャー
◇機械サービス請負業者
◇オペレーションマネージャー
◇政策立案者
◇生産および技術マネージャー
◇購買マネージャー、調達マネージャー
◇カーシェアリングおよびライドシェアリング事業者
◇ソフトウェア開発者およびエンジニア
◇保険機関およびセキュリティコンサルタント
◇金融機関
◇大学・研究機関

■ 来場者プロフィール

  • CEO・COO・MD・GM 33% 33%
  • 中間管理職 29% 29%
  • エンジニア 19% 19%
  • コンサルタント 12% 12%
  • 政策立案者 5% 5%
  • 研究者 2% 2%

■ 来場者の関心

  • 電源管理 31% 31%
  • 充電ステーション 26% 26%
  • 電池部品と材料 17% 17%
  • 蓄電と電池 13% 13%
  • EV部品メーカー 9% 9%
  • ソフトウエア・シミュレート 4% 4%

Exhibitor details

出展社の詳細

出展社の業種

◇先進運転支援システム(ADAS)
◇バッテリーとコンポーネント
◇バッテリー交換技術
◇充電ステーション・EV急速充電器・普通充電器
◇コネクタ・ケーブル
◇制御モジュール・ソフトウェア
◇設計とシミュレーション
◇ドライブシステム・システムプロバイダー・安全ダイビングシステム
◇電気自動車およびEモビリティー部品メーカー
◇エネルギー貯蔵技術
◇エンターテイメントと接続性
◇ハーネス

◇磁気接触器・製造・生産機械・設備
◇モーターテクノロジー・自動車用モーター・部品・材料
◇次世代バッテリー
◇電力・エネルギー監視システム・テスト
◇充電式電池
◇サービスアプリケーション・ソフトウェア開発者
◇ソフトウェアおよび機器プロバイダー
◇ソリッドステート配電装置プロバイダー・自律走行車技術
◇モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)
◇スマート交通・スマートシティ・水素燃料電池技術
◇Eモビリティー向け保険
◇その他のEVおよびEモビリティー関連技術およびサービス

■ 出展社の内訳

  • 電気・電子 36% 36%
  • 自動車組立・自動車部品 29% 29%
  • エンジニアリング 15% 15%
  • 建築・建設 10% 10%
  • 資源・エネルギー 4% 4%
25,000

㎡の展示スペース

393

以上の出展社

28,435

来場者

63

カ国からの出展

7,268

人のカンファレンス・セミナー参加

近年の実績 

開催年 総来場者(人) 総出展者(社・団体) 
2019 19,200 192 
2020 17,060 120 
2021(オンライン開催) 3,379 51 
2022 21,554 173 
2023 26,016 272 
2024 28,435 393 

 

Show background

展示会の背景

■タイ政府のEV支援

タイ電気自動車協会によると、東南アジアのEV市場は現在、急拡大の一途。24年から28年にかけてEVの販売台数は域内平均で年間22%増の成長が見込まれている。新車全体の販売に占めるEVの割合も25年までに31%、28年までに39%に達すると予想されている。

タイ国内でも同様の見通しで、政府は30年までに国内で生産される全自動車に対するEVの割合を30%とする目標を定める。一部にはEVの国内生産が36年までに年間120万台に達するとの試算もあるほどで、タイが国を挙げてEVの拡充に取り組もうとする姿勢が鮮明だ。

そのために、誘致する外国メーカーなどに対してさまざまな優遇策を講じている。22年から始まったEV普及策「EV3.0」や24年に導入を始めた同「EV3.5」では、国内生産メーカーに対し税制優遇措置や補助金の支給を実施。これにより、EVの輸入関税が引き下げられたほか、物品税が車種などに応じて最大で2%減税に。また、バッテリー式電気自動車(BEV)1台につき最高10万バーツの補助金が支給され、EVの普及を加速させている。ハイブリッド車生産に対しても28年から32年にかけて物品税の減税が行われる予定で、そのための約14億米ドルにも上る投資も計画されている。

■課題と懸案材料

ただ、課題や懸案材料も残ったままだ。景気の減速などから自動車の生産や販売はこの数ヶ月、頭打ちの状態が続いており、24年11月のBEV新規登録台数は前年同月比37%減の大幅減少を記録。11月末までの通年でも3%減となっている。コロナ禍の影響から未だに脱しきれない企業や個人も少なくない中で、経済の回復がどこまで進むのか不安材料は尽きない。

優遇措置の背後に隠れた「EV3.0」や「EV3.5」の盲点も気になり始めた。これらの申請を行った場合、進出企業側には優遇恩典を受ける代わりにEVの輸入台数と同じ台数のタイ国内生産がノルマとして課されることになっている。ところが、それを達成できないケースが散見されるようになり、最悪のケースでは補助金の返還といったペナルティーか科される見通しだ。政府の国家電気自動車政策委員会は、これまでに自動車メーカー26社がEV3.0やEV3.5の申請を行ったことを明らかにしており、影響がどこまで広がるかに注目が集まっている。

バッテリーなどEV部品の現地調達化も、企業側がどこまで対応できるかなお不透明だ。タイ投資委員会(BOI)ではEV部品の現地調達率を現在の40%から50%に引き上げる意向で調整が続けられている。BOI内には国内産業振興の観点から最高で80%まで引き上げるべきとの意見もあるといい、企業側とのつばぜり合いも続けられている。タイ電気自動車協会によると、EVメーカー各社の現在の国内調達率は40%を上回る程度だとみられている。

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